2025.10.31
  • キッズ向けコラム

冬の季語一覧|俳句や手紙で使える美しい季節の言葉をジャンルごとに一挙紹介!

学校の学習をちょっと深く学ぶためのテテトコエデュケーション。今回は俳句などで使われる季語についてです。

冬は日本の四季の中でも静寂と美しさに満ちた季節として親しまれています。雪景色や氷の芸術、澄んだ空気とともに訪れる冬には、厳しくも美しい自然の営みが数多くあります。

俳句では、これらの冬の情景や心情を表現するために「季語」と呼ばれる特別な言葉を使います。季語は俳句に季節感を与え、短い17音の中に豊かな世界観を表現するために欠かせない要素です。

本記事では、冬の季語を分野別に詳しく紹介し、俳句作りや手紙の時候の挨拶で活用できる知識をお伝えします。

冬の季語とは

冬の時期と三冬の分類

俳句の世界では、立冬(11月7日頃)から立春前日(2月3日頃)までを冬としています。この期間をさらに細かく分けて「三冬」と呼びます。

初冬(11月7日頃〜12月6日頃):秋の名残を残しつつ、冬の気配を感じ始める時期

仲冬(12月7日頃〜1月4日頃):本格的な寒さが訪れ、最も冬らしい時期

晩冬(1月5日頃〜2月3日頃):厳寒の季節だが、春の兆しも感じられる時期

季語の7つの分類

冬の季語は、その内容によって以下の7つのカテゴリーに分けられます。

時候:季節感や時期を表す言葉

天文:空や天体、気象現象に関する言葉

地理:山川草木、土地の様子を表す言葉

生活:衣食住や日常の営みに関する言葉

行事:冬に行われる祭りや行事に関する言葉

動物:冬に活動する生き物の言葉

植物:冬に咲く花や実る植物の言葉

【時候】冬の気候・時期を表す季語

冬の時候を表す季語は、寒さの深まりとともに変化する気温や空気感を表現します。初冬の肌寒さから始まり、厳寒の季節を経て、やがて春の兆しを感じるまで、冬の移ろいが美しく表現されています。

三冬(冬全体)で使える時候の季語

季語読み方意味・特徴
ふゆ冬という季節そのものを表す基本的な季語
寒いさむい冬の厳しい寒さを表現する基本的な季語
冷たいつめたい冬の冷たさを直接的に表現
凍てるいてる厳しい寒さで水などが凍ること
短日たんじつ冬の短い日照時間を表現

初冬の時候季語

季語読み方意味・特徴
立冬りっとう二十四節気の一つ、暦の上での冬の始まり
初冬しょとう冬の始まりの時期を表す
小雪しょうせつわずかに雪が降り始める頃の節気
木枯こがらし初冬に吹く冷たく乾燥した風
時雨しぐれ初冬の一時的な小雨

仲冬の時候季語

季語読み方意味・特徴
大雪たいせつ雪が本格的に降り始める頃の節気
冬至とうじ一年で最も昼が短い日
仲冬ちゅうとう冬の中頃、最も寒い時期
師走しわす12月の異称、年末の慌ただしさを表現
極月ごくげつ12月の別称、一年の終わりを意味

晩冬の時候季語

季語読み方意味・特徴
小寒しょうかん寒の入り、本格的な寒さの始まり
大寒だいかん一年で最も寒い時期とされる節気
晩冬ばんとう冬の終わり、春間近の時期
余寒よかん立春後もなお続く寒さ
春隣はるとなり春がすぐそこまで来ている状態

【天文】空・天体・気象の季語

冬の空は澄み切って美しく、雪や霜、氷といった冬特有の気象現象が数多く見られます。これらの自然現象は冬の季語として大切に扱われ、俳句に深い情趣を与えています。

三冬の天文季語

季語読み方意味・特徴
ゆき冬を代表する気象現象、純白の美しさの象徴
しも冷え込んだ朝に降りる白い氷の結晶
こおり水が凍った状態、冬の厳しさを表現
吹雪ふぶき強風とともに激しく降る雪
冬の雨ふゆのあめ冷たく寂しげな冬の雨
冬の風ふゆのかぜ身を切るような冷たい風
冬空ふゆぞら澄み切った冬の空

初冬の天文季語

季語読み方意味・特徴
初雪はつゆきその冬初めて降る雪、冬の始まりを告げる
初霜はつしもその冬初めて降りる霜
初氷はつごおりその冬初めて張る薄氷
あられ小さな氷の粒が降る現象
みぞれみぞれ雨と雪が混じって降る現象

仲冬の天文季語

季語読み方意味・特徴
雪景色ゆきげしき雪に覆われた美しい景色
雪雲ゆきぐも雪を降らせる厚い雲
雪明りゆきあかり雪に反射して明るく見える夜
つららつらら軒下などに垂れ下がる氷柱
雪だるまゆきだるま雪で作る人形、冬の楽しみ

晩冬の天文季語

季語読み方意味・特徴
薄氷うすらい水面に張る薄い氷
雪解ゆきどけ春の訪れとともに雪が解け始める
凍解いてどけ氷が解け始める春の兆し
雪間ゆきま雪の間から見える地面
残雪ざんせつ春になっても残る雪

【植物】冬の花・木・実の季語

冬は一見花の少ない季節に思えますが、寒さに負けず美しく咲く花や、冬ならではの植物の姿があります。椿や水仙、南天など、冬を彩る植物たちは季語として大切にされています。

三冬の植物季語

季語読み方意味・特徴
椿つばき冬を代表する花、雪中でも美しく咲く
山茶花さざんか椿に似た冬の花、香りが良い
水仙すいせん雪の中でも咲く白い美しい花
南天なんてん赤い実が美しい、縁起の良い植物
まつ常緑で冬も緑を保つ、長寿の象徴
たけ雪にも負けない強さを持つ植物
うめ早春に咲く花の代表、希望の象徴

初冬の植物季語

季語読み方意味・特徴
紅葉散るもみじちる秋の紅葉が散り冬へと向かう
落葉らくよう木々の葉が落ちる冬の始まり
枯葉かれは茶色く枯れた葉、冬の侘しさを表現
ひいらぎとげのある葉を持つ常緑樹
冬桜ふゆざくら冬に咲く珍しい桜

仲冬の植物季語

季語読み方意味・特徴
千両せんりょう赤い実が美しい、正月の縁起物
万両まんりょう千両と似た赤い実を付ける縁起物
葉牡丹はぼたん冬の花壇を彩る美しい葉の植物
冬青そよご赤い実を付ける常緑樹
雪吊ゆきつり雪の重みから松の枝を守る縄

晩冬の植物季語

季語読み方意味・特徴
臘梅ろうばい黄色い花を咲かせる香り高い花
寒梅かんばい寒中に咲く梅の花
福寿草ふくじゅそう黄色い花で春の訪れを告げる
雪柳ゆきやなぎ白い小花が雪のように美しい
寒椿かんつばき寒中に咲く椿の花

【動物・虫】冬に活動する生き物の季語

冬は多くの動物が冬眠する季節ですが、寒さに適応した動物たちや渡り鳥、そして人間と身近に暮らす動物たちの冬の姿が季語として表現されています。

三冬の動物季語

季語読み方意味・特徴
つる冬の渡り鳥の代表、優雅で美しい
白鳥はくちょう純白の美しい冬の鳥
かも冬の池や川でよく見かける水鳥
すずめ冬でも元気に活動する身近な鳥
たか冬の狩猟鳥、鋭い眼光が印象的
うさぎ雪の上を跳ねる愛らしい姿
きつね雪景色によく映える赤い毛色

初冬の動物季語

季語読み方意味・特徴
鶴来るつるくる冬の始まりとともに飛来する鶴
白鳥来るはくちょうくる冬鳥として日本に飛来
鴨来るかもくる冬の水辺に現れる鴨たち
熊穴に入るくまあなにいる熊が冬眠のため穴に入る
蛇穴に入るへびあなにいる蛇が冬眠に入る様子

仲冬の動物季語

季語読み方意味・特徴
寒雀かんすずめ寒さに震える雀の姿
千鳥ちどり海辺を走り回る小さな鳥
ぶり冬が旬の美味しい魚
たら冬の代表的な魚、鍋料理に最適
河豚ふぐ冬の高級食材、毒を持つ魚

晩冬の動物季語

季語読み方意味・特徴
うぐいす春告鳥とも呼ばれ、春の訪れを告げる
目白めじろ梅の花にとまる美しい小鳥
猫の恋ねこのこい春の訪れとともに始まる猫の恋愛
東風こち春を運ぶ東からの風
春の鳥はるのとり春の訪れとともに活動する鳥たち

【生活・行事】冬の暮らしと行事の季語

冬は年末年始やクリスマスなど、一年で最も行事の多い季節です。また、寒さをしのぐための生活の工夫や暖房器具なども季語として表現されています。

三冬の生活・行事季語

季語読み方意味・特徴
炬燵こたつ冬の暖房器具の代表、家族団らんの象徴
火鉢ひばち昔ながらの暖房器具
囲炉裏いろり古民家の中央にある暖房兼調理場
毛布もうふ冬の寝具、温かさの象徴
手袋てぶくろ寒さから手を守る防寒具
マフラーまふらー首を暖める防寒具
鍋物なべもの冬の代表的な料理、体を温める

初冬の生活・行事季語

季語読み方意味・特徴
紅葉狩もみじがり晩秋から初冬にかけての行楽
七五三しちごさん11月15日の子どもの成長を祝う行事
酉の市とりのいち11月の酉の日に開かれる市
風呂吹ふろふき大根を使った冬の料理
湯豆腐ゆどうふ体を温める冬の料理

仲冬の生活・行事季語

季語読み方意味・特徴
大晦日おおみそか一年の最後の日、除夜の鐘で有名
年の暮としのくれ年末の慌ただしい時期
煤払すすはらい年末の大掃除、新年を迎える準備
餅つきもちつき正月の準備として行う伝統行事
クリスマスくりすます12月25日の西洋の祭日
年賀状ねんがじょう新年の挨拶状
歳暮せいぼ年末の贈り物

晩冬の生活・行事季語

季語読み方意味・特徴
正月しょうがつ一年の始まり、最も重要な行事
初詣はつもうで新年最初の神社仏閣への参拝
年賀ねんが新年の挨拶
節分せつぶん豆まきで鬼を追い払う行事
鍋焼うどんなべやきうどん冬の温かい麺料理
おでんおでん冬の代表的な煮込み料理
成人の日せいじんのひ新成人を祝う現代の祝日

小学生向け|覚えやすい冬の季語

俳句を始めたばかりの小学生や初心者の方でも使いやすい、身近で覚えやすい冬の季語をご紹介します。これらの季語は日常生活でもよく目にするものばかりです。

(ゆき)、(しも)、(こおり)、椿(つばき)、水仙(すいせん)、こたつ(こたつ)、正月(しょうがつ)、(すずめ)、(なべ)、手袋(てぶくろ)

冬の季語を使った俳句作りのコツ

季語と情景の組み合わせ

冬の季語を使って俳句を作る際は、季語が持つ厳しさや美しさ、静寂感を大切にしましょう。例えば「雪」という季語を使う場合、雪が降る静かな夜や雪景色の美しさ、雪の冷たさなどを思い浮かべ、それに合う言葉を組み合わせます。

五感を使った表現

冬の季語は五感に強く訴える表現が豊富です。雪を踏む音(聴覚)、雪景色の美しさ(視覚)、椿の香り(嗅覚)、鍋料理の温かさ(味覚)、寒さ(触覚)など、様々な感覚を活用して表現の幅を広げましょう。

対比の美しさを活用する

冬は寒さと温かさ、静寂と賑わい、厳しさと美しさなど、対比が際立つ季節です。これらのコントラストを季語を通して表現すると印象的な俳句になります。

手紙で使える冬の時候の挨拶

冬の季語は俳句だけでなく、手紙の時候の挨拶でも活用できます。相手に季節感を伝える美しい表現として重宝します。

初冬(11月〜12月前半)の挨拶例

初冬の候、いかがお過ごしでしょうか

木枯らしが身にしみる季節となりました

朝夕の冷え込みが厳しくなってまいりました

仲冬(12月後半〜1月前半)の挨拶例

師走の慌ただしい季節となりました

雪景色が美しい季節です

新年おめでとうございます

晩冬(1月後半〜2月)の挨拶例

大寒の候、お元気でお過ごしでしょうか

梅のつぼみが膨らみ始める季節となりました

立春とは名ばかりの寒さが続いております

冬の季語の歴史と文化的背景

冬の季語の多くは、日本人の生活や文化に深く根ざしています。雪や氷、椿や水仙などは古くから日本文学に登場し、日本人の美意識や季節感を表現してきました。

雪の文化

日本では古来より雪を美しいものとして愛でる文化があります。雪景色の美しさや雪の静寂な世界は、多くの詩歌に詠まれ、絵画にも描かれてきました。「雪月花」という言葉があるように、雪は日本の美意識を代表する要素の一つです。

正月の文化

正月は日本人にとって最も重要な行事です。年神様を迎える神聖な時期として、古くから様々な行事や習慣が行われてきました。初詣や年賀状、お雑煮など、現代でも続く正月の文化は冬の季語として大切に扱われています。

現代生活に息づく冬の季語

古典的な季語の多くは現代でも生活の中で見ることができます。雪だるまやこたつ、鍋料理など、現代の冬の生活に欠かせないものが季語として受け継がれています。また、クリスマスのように比較的新しい行事も季語として定着しています。

都市部でも楽しめる冬の季語

都市部に住む人々も、イルミネーションや初詣、年末年始の慌ただしさなど、多くの冬の季語を身近に感じることができます。現代の俳句作りでは、こうした都市の中の冬の風景も大切な題材となっています。

季語を学ぶための参考資料

冬の季語をより深く学ぶためには、以下のような資料が役立ちます。

歳時記:季語を体系的にまとめた辞典。角川歳時記や講談社歳時記などが有名です。

俳句雑誌:現代の俳人による作品を通して、季語の使い方を学べます。

古典作品:松尾芭蕉や正岡子規など、古典俳人の作品から季語の伝統的な使い方を学べます。

自然観察:実際に自然を観察することで、季語の背景にある現象を直接体験できます。

まとめ

冬の季語は、日本の美しい冬の情景や人々の暮らしを表現する豊かな言葉の宝庫です。時候・天文・植物・動物・生活・行事の各分野にわたって多彩な季語があり、それぞれが深い意味と美しい響きを持っています。

俳句作りでは、これらの季語を効果的に使うことで、短い17音の中に豊かな世界観を表現できます。また、手紙の時候の挨拶でも、季語を使った表現は相手に季節感と文化的な教養を伝える素晴らしい手段となります。

初心者の方は、まず身近な季語から始めて、徐々にレパートリーを増やしていくことをおすすめします。冬の自然を五感で感じながら、美しい日本語の季語を通して、豊かな表現力を身につけてください。

冬の季語を学ぶことは、日本の文化や自然への理解を深めることでもあります。季語を通して、先人たちが大切に育んできた季節感や美意識に触れ、現代に生きる私たちも豊かな感性を磨いていきましょう。

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