- 子育てコラム
子供が同じことを何度も聞いてくる理由って?対策も考えよう
「何度言っても同じことを聞いてくる…」「一度説明したのに、また聞かれる…」子育ての中で、こんな経験をしたことはありませんか? 子供の繰り返し質問に、つい「さっき言ったでしょ!」と声を荒げてしまったり、「どうして覚えられないの?」と心配になったりすることもあるでしょう。今回はそんな何度も聞きがちな子どもの気持ちを考えてみましょう。
よくある繰り返しの質問って?
繰り返される質問には、いくつかの典型的なパターンがあります。日常的によく見られるのは、「明日の予定は?」「何時に出かけるの?」といった予定に関する確認です。また、「これ、どこに片付けるの?」「宿題はこれでいい?」という具体的な行動の確認も頻繁に見られます。さらに、社会性の発達に関連して、「〇〇ちゃんと遊べる?」「先生に何て言えばいい?」という対人関係についての確認も重要な要素となっています。 これらの質問は、子供にとってはとても重要な情報です。間違えたくない、確実にしたいという気持ちの表れでもあります。
年齢によっても違う聞き方
子供の質問の仕方や内容は、年齢によって大きく変化します。まずは、年齢ごとの特徴を見ていきましょう。
幼児期(3-6歳)の子どもたちは、同じ質問を何度も繰り返すことが特徴的です。例えば「今日、公園に行く?」という質問を、答えを知っているのに何度も聞いてきます。この時期は、記憶を確かめながら、物事の順序や時間の感覚を学んでいる段階です。また、大好きな親とのコミュニケーションを楽しんでいる面もあります。
小学校低学年になると、質問の内容が具体的になってきます。「明日の持ち物は何?」「宿題はこれでいい?」など、学校生活に関する確認が増えてきます。この時期は、自分で管理することの難しさと向き合い始める時期。一度の説明で理解し行動に移すことは、まだまだ難しいものです。
中・高学年になると、より複雑な内容の質問が増えてきます。「次の習い事までの時間は?」「週末の予定は?」など、時間の管理や予定の把握に関する質問が目立ちます。一見理解しているように見えても、不安になって確認したくなる気持ちは大人と同じかもしれません。
何度も同じことを聞かれて親が感じるストレス
「何度説明しても…」というストレスは、特に忙しい朝や夜に大きくなります。時間に追われている時に同じ質問をされると、つい声を荒げてしまったり、「もう自分でやって!」と突き放してしまったりすることも。 でも、そんな自分を責める必要はありません。同じことを何度も説明することは、確かにストレスフルな体験です。イライラするのは、あなたが悪いわけではないのです。
特に負担を感じやすい場面として、日々の生活の中でも特に時間的制約の強い朝の準備時間があります。また、一日の疲れが出てくる夜の時間帯での宿題チェックも大きなストレスとなりやすいです。さらに、外出直前の慌ただしい持ち物確認や、突発的な予定変更が発生した際の説明なども、親子ともにストレスを感じやすい場面となっています。これらの状況では、特に丁寧なコミュニケーションを心がける必要があります。
子どもへの説明の工夫
同じ説明を繰り返すのではなく、子供の理解に合わせて説明を変えてみましょう。効果的な説明のためには、まず一度にたくさんの情報を詰め込まないことが重要です。また、抽象的な表現を避け、具体的な言葉で順を追って説明することで、子供の理解が深まります。さらに、可能な限り視覚的な補助を活用することで、言葉だけでなく目で見て確認できる形での理解を促すことができます。 例えば、「片付けて」という抽象的な指示ではなく、「まず教科書を本棚に入れよう」「次に筆箱を机の引き出しに入れよう」というように、具体的に一つずつ伝えます。
視覚的な手がかりで理解を促す
子供が自分で確認できる仕組みを作ることが、とても効果的です。具体的な方法として、まず日常的な活動のチェックリストを活用することが挙げられます。「朝の準備」や「帰宅後にすること」などを分かりやすく整理することで、子供自身が確認しながら行動できるようになります。また、写真やイラストを効果的に使用することも有効です。特に「こんな風に片付けてね」というように、期待される結果の完成形を視覚的に示すことで、子供の理解が深まります。さらに、具体的な手順表を作成することで、例えば「1.手を洗う 2.タオルで拭く 3.給食の準備」といった一連の流れを明確に示すことができます。
子供の自立を育てるためにスモールステップで!
子供が自分で確認できるようになるには、時間がかかります。一足飛びに「自分でやりなさい」と言っても、かえって混乱してしまいます。少しずつ、できることを増やしていくスモールステップの方法を考えてみましょう。
ステップアップの具体例
例えば、学校の準備の場合、以下のような段階を踏んで進めていくことが効果的です。最初の段階では、親が全ての確認を担当します。「教科書は入れた?」「宿題は入れた?」と、必要な項目を一つずつ声をかけながら確認していきます。 次の段階では、子供と一緒に確認作業を行います。「何が必要か、一緒に確認してみよう」と声をかけ、準備のリストを見ながら協力して確認を進めます。 その後、子供が主体的に確認し、親がサポート役となる段階に移ります。「自分で確認できたら、教えてね」と伝え、最後に軽く確認する程度にとどめます。 最終的には、基本的に子供に任せる段階へと移行します。この段階では「困ったことがあったら聞いてね」という見守りの姿勢に徹します。
できたときの褒め方は具体的に
子供の成長を認め、具体的に褒めることは非常に重要です。「自分で確認できたね!」と基本的な達成を認めることから始まり、「リストを見ながらチェックできてすごいね」というような具体的な行動の評価、そして「忘れ物が減ってきたね」という継続的な成長の認識まで、様々な形で肯定的なフィードバックを提供することができます。 特に、努力のプロセスを認める言葉がけが効果的です。完璧にできなくても、前より良くなっている部分を見つけて伝えましょう。
子ども成長のために家族みんなで取り組む
家族での情報共有も大切
子供への対応において、家族間での一貫性は非常に重要です。両親で異なる対応をとってしまうと、子供は何が正しい行動なのかを判断できず、混乱してしまいます。「お母さんはいいって言ったのに」というような状況が生じると、子供の中で規則や約束の意味が曖昧になってしまいます。このような事態を防ぐためにも、定期的に家族で話し合い、対応方法を確認し合うことが推奨されます。
兄弟姉妹がいる場合はどちらの気持ちも考えて
兄弟姉妹がいる家庭では、年齢差による対応の違いを適切に設定することが重要になってきます。上の子に対して過度に「お手本」としての役割を求めることは避けるべきです。また、下の子との安易な比較は、子供たちの心理的な負担となる可能性があります。むしろ、それぞれの子供の成長ペースを個別に認め、その子なりの発達段階に応じた期待や支援を提供することが大切です。 年齢が違えば、できることも違って当然です。一人一人の成長に合わせた対応を心がけましょう。
発達についての疑問を専門家に相談するタイミングって?
以下のような状況が見られる場合は、専門家に相談することで、より適切なサポート方法を見出せる可能性があります。まず、子供の年齢に比して著しく質問の繰り返しが多い場合が挙げられます。また、視覚的な手がかりなど様々な工夫を実践しても改善が見られない場合も要注意です。さらに、子供自身が明らかなストレスを感じている様子が観察される場合や、この行動によって日常生活に支障が出ている場合も、専門家への相談を検討する必要があります。
発達相談の準備と進め方
専門家への相談をより効果的なものとするために、事前の準備が重要です。具体的には、日常生活の中でどのような場面で繰り返しの質問が多く見られるのか、これまでにどのような対応や工夫を試みてきたのか、そしていつ頃からこのような様子が目立つようになってきたのかなど、具体的な記録を整理しておくことが有効です。 相談先としては、まずかかりつけの小児科医に相談することができます。また、地域の子育て支援センターでは、専門的な知識を持つスタッフが相談に応じてくれます。学校や園の先生方も、教育現場での子供の様子を踏まえた助言をくれる重要な相談相手となります。さらに、市区町村が運営する子育て相談窓口では、地域の実情に即した支援情報を得ることができます。
まとめ
子供の成長には個人差があり、それぞれのペースがあります。あせらず、できることから少しずつ。その積み重ねが、確実な成長につながっていきます。 また、子育ての悩みを一人で抱え込まず、パートナーや家族、専門家に相談してみましょう。周りの支援を受けながら、子供の成長に寄り添っていけたらいいですね。