2024.11.21
  • 子育てコラム

5歳児健診が義務化へ!検査項目や発達障害スクリーニングの意義って?

※この記事は2024年11月21日時点でのニュース記事や省庁からの発表をもとに作成しています。

これまで3歳児健診から就学時健診までの間に行政からの健診機会はあまりなく、発達障害の発見が遅れてしまう子供がいました。しかし、「5歳児健診」を全国で拡大していく方針がこども家庭庁から発表されました。この記事では、これから義務化へ進んでいくと考えられる5歳児健診について、保護者が知っておきたい情報をまとめました。

5歳児健診の開始と目的について

ニュースなどでも取り上げられて注目されている5歳児健診。これまで3歳児健診と就学時健診の間にあった空白期間が埋められることになります。なぜ今、5歳児健診が必要とされているのか、その背景と目的を解説します。

5歳児健診の実施状況の変化

これからの大きな変更点

実は5歳児健診自体は新しい取り組みではありません。一部の自治体では以前から実施されていましたが、これまでは各自治体の判断に任されていたため、2022年度の実施率は全国でわずか14.1%でした。この状況が大きく変わることになります。こども家庭庁が5歳児健診の全国展開を本格的に推進することを決定し、2028年度までには全国どこでも受けられる体制を目指すことになったのです。

支援体制はどう変わる?

これまで5歳児健診を実施できなかった理由の一つに、自治体の人員・予算不足がありました。特に、発達に詳しい医師の確保が難しいという声が多く聞かれていました。この課題に対して、国は医師の派遣費用や専門職への研修費用の補助を行うことを決定。また、健診1人あたりの補助額も3000円から5000円に引き上げられます。このような支援により、より多くの地域で5歳児健診が実施されることが期待されています。

なぜ5歳児健診が必要なの?

子供にとっての5歳という時期の特徴

「なぜ5歳なの?」と思われる方も多いのではないでしょうか。実は5歳という時期は、子どもの成長において非常に重要な転換期です。言葉の理解力が大きく伸び、友だちとの関わりも増えてくるこの時期は、それまでは気づきにくかった発達の特徴が見えてくることがあります。例えば、集団活動での様子から、コミュニケーションの取り方や社会性の発達具合がわかりやすくなるのです。

3歳半健診の段階では発達速度の差が顕著で、凸凹と言えるかどうかの判断が難しい場合に、5歳であればもう少し確度の高い診断ができると言う判断だと考えられます。

5歳児健診ではどんなことをチェックするの?

5歳児健診では、身体測定だけでなく、言葉の発達や友だちとの関わり方など、就学に向けた準備が整っているかどうかを総合的に確認します。具体的にどんなことをチェックするのか、ポイントを詳しく見ていきましょう。

体の成長と生活習慣

日常生活の様子をトータルにチェック

5歳児健診では、単なる身長・体重の測定だけでなく、お子さんの生活全般について確認します。3歳児健診からの成長の変化はもちろん、食事、睡眠、排せつなど、基本的な生活習慣も大切なチェックポイントです。特に注目されるのが、家族との食事の様子。実は、家族で一緒に食事をする時間は、食習慣の確立だけでなく、会話を通じたコミュニケーション力の発達にも重要な役割を果たしているんです。

発達と社会性

遊びの中での観察も大切なポイント

5歳児健診の大きな特徴は、お子さんの社会性を様々な角度から見ていくことです。例えば、じゃんけんやしりとりといった簡単な遊びを通して、ルールの理解力や言葉の使い方をチェックします。また、保育所や幼稚園からの情報も参考にしながら、お友だちとの関わり方も見ていきます。「順番を待てるようになったかな?」「友だちと協力して遊べているかな?」といった普段の様子が、とても大切な情報となります。

専門家への相談機会

さまざまな分野の専門家に相談できる

5歳児健診を受けるメリットの一つが、様々な専門家に相談できること。自治体にもよりますが、医師や保健師はもちろん、心理士、言葉の発達に詳しい言語聴覚士、体の発達に詳しい作業療法士など、専門家に日頃の疑問や悩みを相談できる機会でもあります。。「偏食が気になる」「お友だちとの関わり方が心配」「就学後の学校生活についての不安がある」など、どんな小さな心配事でも相談できます。

特に、小学校入学を控えたこの時期特有の心配事には丁寧に対応してもらえます。「授業中、じっと座っていられるかな?」「先生の一斉指示を聞けるかな?」「給食の時間に間に合うかな?」といった具体的な不安についても、教育の専門家を交えて相談できる地域が増えてきています。

健診で気になることがあった場合のサポートについて

健診後の支援はどうなるの?

健診で気になる点が見つかった場合、大きく3つのパターンでサポートが行われます。1つ目は、健診当日の専門家との相談で助言をもらい、保育園や幼稚園の先生と保健師さんが見守っていくケース。2つ目は、発達支援センターなどの専門施設で定期的なサポートを受けながら就学を迎えるケース。3つ目は、より専門的な医療機関で相談や診察を受けるケース。どのサポートが最適かは、お子さんの特徴や保護者の方の希望を考慮しながら、専門家のチームで丁寧に検討されます。

就学に向けた準備のサポート

学校との情報共有

保護者の方の同意があれば、健診で分かったお子さんの特徴や、効果的な関わり方のポイントを、入学予定の小学校に伝えることができます。例えば、「視覚的な情報があると理解しやすい」「少人数での活動が得意」といった情報は、入学後の学校生活をスムーズにするための大切なヒントとなります。

学校生活に向けた準備

就学まで半年以上の準備期間があるのも、5歳児健診の大きなメリット。例えば、「椅子に座って活動する時間を少しずつ増やしていく」「身の回りの準備を自分でする習慣をつける」など、具体的な目標を立てて取り組むことができます。先生や専門家と相談しながら、お子さんのペースに合わせて準備を進められるのです。

健診を受ける前に知っておきたいこと

事前の準備で役立つポイント

5歳児健診は、こどもの特性を早期に発見し、特性に合わせた適切な支援を行うとともに、生活習慣や育児に関する指導を行う機会です。普段のお子さんの様子をちょっと意識して観察してみましょう。例えば、お友だちと遊ぶときはどんな様子?好きな遊びは?苦手なことは?食事や睡眠のリズムは?といった点です。気づいたことをメモしておくと、当日の相談に役立ちます。

また、保育園や幼稚園の先生に相談して、集団生活での様子を教えてもらうのもおすすめです。家では見られない一面を知ることができ、より総合的にお子さんの成長を捉えることができます。

健診当日の心がけ

お子さんにとって健診は特別な出来事です。「大切な成長の記録を取る日」という前向きな気持ちで臨めるよう、シンプルに説明してあげるのがおすすめです。また、いつもと変わらない生活リズムで過ごし、体調の良い状態で受診できるようにしましょう。分からないことや不安なことは、当日の専門家に何でも聞いてみてください。お子さんの成長を一緒に考え、サポートしてくれる心強い味方になってくれるはずです。

5歳児健診についてのオフィシャルな情報

以下のサイトに情報がまとまっています。よくある質問に多数の情報が掲載されているのでご確認ください!

5歳児健診ポータル

5歳児健診では、お子さんの発達状況を確認し、必要に応じて適切な支援につなげていきます。みなさんの地域でも順次始まっていく5歳児健診をぜひ活用してみてください。

         記事一覧へ戻る