2024.04.20
  • コラム

学級閉鎖の基準は何人から?インフルエンザ流行時に慌てないために知っておきたいこと

学級閉鎖は、学校において感染症が発生し、感染拡大を防ぐために一時的に教室での授業を中止し、児童・生徒を自宅待機させる措置です。学級閉鎖の実施は、感染症の種類や流行の状況、文部科学省や自治体の方針に基づいて判断されます。本記事では、学級閉鎖の基準や対応策について詳しく解説します。

近年の日本における学級閉鎖に関する大きなニュース

新型コロナウイルス感染症による学級閉鎖

2020年から流行した新型コロナウイルス感染症(Covid-19)は、日本の教育現場にも大きな影響を与えました。政府の方針に基づき、多くの学校が一斉臨時休校を実施しました。その後、感染状況に応じて学校が再開されましたが、感染者が確認された学級では適宜学級閉鎖が行われました。

新型コロナウイルス感染症対策では、文部科学省が「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル」を策定し、学校での感染予防策や学級閉鎖の判断基準などを示しました。各学校では、このマニュアルに沿って、手洗いの徹底、換気の実施、マスクの着用など、様々な感染予防策を講じています。

インフルエンザによる学級閉鎖

新型コロナウイルス感染症以前から、冬季を中心に流行するインフルエンザは学級閉鎖の主な原因でした。例えば、2019年1月には、東京都内の小学校で学年の半数以上の児童がインフルエンザに罹患したため、学年閉鎖が実施されました。(参考:Science Portal)

学級閉鎖の基準は?

全国的な基準

学級閉鎖の実施基準は、感染症の種類によって異なります。インフルエンザの場合、学級内の欠席者が全体の10~20%程度に達した時点で、学級閉鎖を検討します。これは、インフルエンザが短期間で急速に拡大する特性を持つためです。

一方、新型コロナウイルス感染症の場合、感染者が1人でも確認された段階で、濃厚接触者の特定や消毒などの対応を取ります。感染拡大のリスクが高いと判断された場合には、感染者が1人でも学級閉鎖や学年閉鎖が実施されることがあります。

地域別の基準

学級閉鎖の基準は、地域によっても異なります。例えば、東京都では、インフルエンザによる欠席者が学級の10%以上に達した場合に、学級閉鎖を検討するとしています(参考:東京都教育委員会)。一方、神戸市では、学級の15〜20%の欠席者を目安として学級閉鎖を実施するとしています(参考:神戸市)

これらの違いは、地域の感染症流行の状況や、学校の規模、生徒の通学範囲などを考慮して決められています。保護者の方は、お子様の通学先の学校や自治体の方針を確認しておくことが大切です。

基準の変化

学級閉鎖の基準は、時代とともに変化してきました。例えば、2009年に新型インフルエンザ(H1N1)が流行した際には、感染者が1人でも確認された段階で学級閉鎖が実施されるケースがありました。これは、新型インフルエンザの感染力や症状の重さが十分に分かっていなかったためです。

その後、新型インフルエンザに関する知見が蓄積され、適切な対応方法が確立されてきました。現在では、季節性インフルエンザと同様の基準で学級閉鎖が判断されることが一般的です。

また、新型コロナウイルス感染症への対応を通じて、学校の感染症対策全体が見直される機会にもなりました。今後も、新たな感染症の出現や、感染症に関する科学的知見の蓄積に応じて、学級閉鎖の基準は変化していくことが予想されます。

学級閉鎖の原因となるその他の感染症は何がある?

インフルエンザや新型コロナウイルス感染症以外にも、学級閉鎖の原因となる感染症はいくつかあります。以下では、代表的な感染症について詳しく解説します。

ノロウイルス感染症

ノロウイルスは、急性胃腸炎を引き起こすウイルスです。主な症状は、下痢、嘔吐、腹痛などです。感染力が非常に強く、学校での集団感染が起こりやすいことが知られています。感染拡大を防ぐため、患者の隔離や、手洗いの徹底、消毒の実施などが求められます。

麻疹(はしか)

麻疹は、麻疹ウイルスによる急性感染症です。発熱、咳、鼻水、目の充血などの症状が現れ、特徴的な発疹が全身に広がります。合併症として、肺炎や脳炎を引き起こすこともあります。

麻疹は感染力が非常に強く、学校での流行が問題となることがあります。予防接種が有効ですが、感受性者が多い集団では注意が必要です。

風疹

風疹は、風疹ウイルスによる感染症です。発熱や発疹、リンパ節の腫れなどの症状が現れます。成人では比較的軽症ですが、妊婦が感染すると、先天性風疹症候群という重篤な症状を引き起こす可能性があります。

これらの感染症は、いずれも学校での集団感染が起こりやすく、学級閉鎖の原因となる可能性があります。日頃から、手洗いの徹底や予防接種の推進など、感染予防の取り組みを行うことが大切です。また、感染症が発生した場合は、迅速かつ適切な対応を取ることが求められます。

学級閉鎖時の生徒の過ごし方は?

自宅での過ごし方

学級閉鎖中は、感染拡大防止のため、児童・生徒は自宅で過ごすことが原則です。外出を控え、不要な人との接触を避けることが重要です。
自宅では、手洗いやマスクの着用、換気など、基本的な感染予防策を徹底しましょう。家族内での感染を防ぐため、可能であれば感染が疑われる児童・生徒は個室で過ごすことが望ましいです。

多くの学校では、学級閉鎖中の自宅学習用の宿題を用意しているので、元気な子供はしっかり取り組む必要があります。また、学級閉鎖中は生活リズムが乱れがちです。規則正しい生活を心がけ、適度な運動や十分な睡眠を取ることが大切です。

習い事への対応

学級閉鎖中は、スイミングやサッカーなどの習い事への参加は控えたほうがよいでしょう。習い事先では、他の学校の児童・生徒と接触する機会があり、感染拡大のリスクがあります。習い事を主催するスクールや団体では、独自の方針を定めている場合があります。学級閉鎖が発生した場合の対応について、事前に確認しておくことをおすすめします。

なお、オンラインでのレッスンを実施している習い事もあります。感染リスクを避けつつ、学びを継続する選択肢の一つとして検討してみてもよいかもしれません。

兄弟姉妹への対応

学級閉鎖となった児童・生徒の兄弟姉妹の登校については、学校の判断に従うことが原則です。感染症の種類や、兄弟姉妹の学年、同居の有無などを考慮して、登校の可否が決定されます。

例えば、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症による学級閉鎖の場合、感染した児童・生徒と同居する兄弟姉妹は、発症するリスクが高いため、一定期間自宅待機とされる場合があります。

学級閉鎖時の保護者の対応は?

仕事への影響と対策

学級閉鎖は、保護者の仕事にも影響を与えます。児童・生徒が自宅待機となるため、保護者も仕事を休まざるを得ない場合があります。1日で終わるわけではないので影響も大きくなりがちです。

給食費の扱い

学級閉鎖により給食が提供されない場合、給食費の払い戻しや減額措置が取られることがあります。休みになった日数分の給食費を日割りで、翌月以降に減額するなどの対応が行われる場合があります。

給食費の扱いについては、学校からの連絡を確認するとともに、自治体の方針を調べておくことをおすすめします。

学級閉鎖後の登校再開

学級閉鎖の解除は、感染症の種類や流行状況、児童・生徒の健康状態などを総合的に判断して決定されます。一般的には、以下のような条件が満たされた場合に、登校再開が検討されます。

  • 学級内の新規感染者が一定期間出ていない
  • 感染者の症状が改善し、他者への感染リスクが低いと判断された
  • 学校の消毒や感染予防策が十分に実施された

学級閉鎖からの登校再開時は、児童・生徒の健康状態を入念に確認することが大切です。発熱や咳など、感染症の症状がある場合は、無理せず自宅療養を継続しましょう。登校再開後も、手洗いの徹底やマスクの着用、教室の換気など、感染予防策を継続することが重要です。学校では、児童・生徒の健康観察を強化し、体調不良者への対応を迅速に行う体制を整えています。

なお、学級閉鎖明けの登校再開後も、感染症の再流行や新たな感染者の発生により、再度学級閉鎖が実施される可能性があります。感染症の動向を注視しつつ、柔軟に対応していくことが求められます。

まとめ

学級閉鎖は、感染症から児童・生徒の健康を守るための重要な措置です。本記事では、学級閉鎖の基準や対応策について詳しく解説しました。

感染症の流行は、学校生活に大きな影響を与えます。しかし、児童・生徒の健康と学びを守るために、学校と家庭、地域が連携し、柔軟に対応していくことが何より大切です。一人ひとりが感染予防の意識を高く持ち、互いに支え合う姿勢を持つことが、困難を乗り越える原動力となるでしょう。

学級閉鎖については、文部科学省のホームページでも詳しい情報が提供されています。以下のリンクも参考にしてください。

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