- 子育てコラム
就学相談完全ガイド:知っておきたい申し込みから判定までの流れ
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1. 就学相談とは
1-1. 就学相談の目的と意義
就学相談とは、お子さんの発達特性や障害の状況を踏まえ、小学校・中学校の入学にあたって適切な教育環境を提案するための相談・判定の場です。
お子さん一人ひとりの持つ可能性を最大限に引き出せるよう、教育のプロが保護者の方と一緒に考える大切な機会と言えるでしょう。今回は主に小学校入学に向けての就学相談に対して解説していきます。
1-2. 就学相談の対象となるお子さんの特性
就学相談の対象となるのは、知的、情緒、身体の発達などに気掛かりな点がある児童とその親が対象となります。
例えば、発達障害、知的障害、身体障害など、何らかの障害や発達の遅れが認められる子供や、グレーゾーンの子供、保育園や幼稚園の生活の中で困り感がある子供などが挙げられます。必ずしも障害の有無のみが基準になるわけではなく、一人ひとりの発達の特性や教育的ニーズに応じて、きめ細やかな支援を検討するのが就学相談の役割です。大切なのは、障害の有無ではなく、お子さんにとってどのような教育環境が望ましいかを見極めることです。
1-3. 就学相談の申込方法と時期
就学相談は、お住まいの地域の教育委員会が主催します。多くは小学校への入学1年前(年長)の4月頃から開始され、11月頃には就学先を決定し、1月頃に就学通知を受け取ります。ただし、これらは自治体・その年度によって異なりますので、あくまで目安としてご参考ください。申込方法も様々で、学校から案内書が届くこともあれば、幼稚園・保育園から案内があることもあれば、自ら専門窓口に申込をすることもあります。入学1年前の4月頃になったら幼稚園・保育園や自治体の就学相談専門窓口に確認をとってみるのが良いでしょう。
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2. 就学相談の流れ
就学相談の流れは自治体によって異なる場合がありますが、ここでは代表的な流れについて説明します。詳しくはお住まいの自治体のホームページなどでご確認ください。
2-1. 相談受付
就学相談を希望する場合、まずは お住まいの地域の教育委員会や児童・家庭支援センターに電話などで連絡を入れ、面談の日程調整を行います。多くの自治体では、就学前年度の5〜9月頃に申し込みを受け付けています。万が一、期限を過ぎた場合も受け付けてくれる場合もあるため、一度相談してみることをお勧めします。ただし、入学までの手続きにはある程度時間がかかるため、できるだけ早めの申し込みがおすすめです。
2-2. 面談
面談では、お子さんの成長の様子や、園・学校での様子、家庭での様子などについて詳しく話を聞かれます。同時に、就学相談の流れや、必要な資料などについての説明もこの場で行われます。お子さんの特性をよく理解してもらうためにも、日頃の様子を具体的に伝えることが大切です。また、保護者がどの学級を志望しているのかという、就学に対する意向もしっかりと伝えましょう。
2-3. 在籍園・在籍校訪問
面談の後、教育委員会の専門家等が、お子さんが通っている幼稚園や保育園、学校等を訪問し、集団生活の様子を観察します。また、園や学校の先生方にもお子さんの様子を伺う質問用紙への記入をお願いし、多角的な情報収集が行われます。訪問の日程や詳細については、事前に説明があるでしょう。普段通りの姿を見てもらうことで、お子さんを客観的に判断してもらえる良い機会といえます。
2-4. 専門家からの意見聴取
面談や訪問で得られた情報を基に、医師や心理士、教育の専門家などが集まり、お子さんに望ましい教育の場について検討します。その際、お子さんの発達の特性だけでなく、保護者の意向や、地域の学校の状況なども考慮されます。ここでの意見が、就学先の提案に反映されることになります。
2-5. 保護者の方への連絡・相談
専門家からの意見聴取を経て、教育委員会から保護者の方へ、お子さんの就学先についての提案が行われます。提案内容については、しっかりと説明を受け、納得のいくまで質問や相談をすることが大切です。保護者の意向を踏まえて、就学先についての相談は継続されます。 場合によっては、実際に学校を見学したり、体験入学をしたりする機会が設けられることもあります。
2-6. 就学先の決定
保護者の方と教育委員会との相談を経て、最終的な就学先が決定されます。通常は、教育委員会から正式な入学通知書が保護者の方へ送られる形で、就学先の決定が伝えられます。通知の時期は自治体によって異なりますが、多くの場合、就学前年度の12月から1月頃になります。
以上が、一般的な就学相談の大まかな流れです。自治体によって多少の違いはありますが、おおまかなプロセスは同じと言えるでしょう。就学相談は、お子さんにとって最適な教育の場を見つけるための重要なステップです。
保護者の方も、一緒に考え、一緒に決めていく大切な役割を担っています。教育委員会や専門家とよく相談し、お子さんにとって最善の選択ができるよう、前向きに臨んでいきたいですね。
3. 就学相談の判定基準と判定結果
3-1. 通常級、特別支援級、通級指導教室の違いと特徴
「通常級」とは、いわゆる普通学級のことで、おおむね学習指導要領に沿った教育課程で学習を進めます。「特別支援学級」は、少人数の障害児学級のことで、一人ひとりに応じたきめ細やかな指導が特徴です。「通級による指導」は、通常級に在籍しながら、週に数時間、別の教室で特別な指導を受ける形態を指します。お子さんの実態に応じて、それぞれの良さを生かした教育を受けられるよう、就学相談では丁寧に話し合われます。
3-2. 就学相談の判定基準と判定方法
就学相談の判定は、医学的な診断名だけでなく、知的発達の程度、コミュニケーションの力、社会性の発達、身辺自立の状況など、お子さんの生活面や行動面での特徴を総合的に評価して下されます。例えば、知的障害学級は「知的発達の遅滞があり、他人との意思疎通に軽度の困難が見られる程度」が目安とされ、自閉症・情緒障害学級は「自閉症又はそれに類するもので、他人との意思疎通及び対人関係の形成が困難である程度」が目安とされます。ただし、数値による明確な基準があるわけではなく、あくまでお子さん一人ひとりの教育的ニーズに基づいた判断となります。
3-3. 希望する学級と判定結果が異なる場合の対応
もし、就学相談の判定結果が保護者の意向と異なっていた場合でも、あわてる必要はありません。就学相談はあくまで「教育的な意見」であり、就学先の最終決定権は保護者にあります。
納得がいかない場合は、改めて相談したり不服を申し立てることもできます。実際の授業の様子を見学させてもらうのも一つの方法です。
ただし、お子さんの幸せを第一に考えることが大切です。専門家がしっかりと時間をかけて判断してくれた結果を冷静に受け止めた上で、学校の先生方とよく話し合い、お子さんにとって何が最善なのかを一緒に考えていきましょう。
4. 就学相談の結果を受けて
4-1. 思った通りの結果にならずにショックを受けてしまったら
「うちの子に発達の凸凹があるなんて…」「通級を希望していたのに通常級って言われた…」「行かなきゃよかったかも…」と、就学相談の結果を受け止めるのに時間がかかるご家庭も少なくありません。お子さんの実態と判定結果にギャップを感じ、ショックを受けるのは自然な心情です。
でも、大切なのはお子さんの幸せです。必要な支援を受けられる環境で、お子さんなりに成長していく姿を見守ることが何より大切だと思います。心の整理がつくまで、周囲に率直に相談してみるのも良いかもしれません。焦らず、一歩ずつ前に進んでいきましょう。
4-2. 就学先決定後の準備と心構え
就学先が決まったら、入学に向けての準備を始めましょう。通常級、特別支援級それぞれに、必要な施設や設備、サポート体制が整っています。事前に見学を申し込んだり、担任の先生と面談の機会を設けてもらうのも良いでしょう。お子さんの特性を丁寧に伝え、学校生活での配慮事項を共有しておくことが大切です。 また、お子さんが新しい環境に馴染んでいくまでは、多少の試行錯誤は避けられません。うまくいかないこともあるかもしれませんが、お子さんなりに成長していく過程だと捉え、温かく見守っていきたいですね。学校との連携を密に取りながら、お子さんの小学校生活を一緒に支えていきましょう。
5. 就学相談Q&A
5-1. 就学相談に行かなくてもよいケースとは
発達の凸凹はあるけれど、集団生活への適応に大きな困り感がない場合や、学習面でも著しい遅れがない場合は、必ずしも就学相談を受ける必要はないと言えるでしょう。ただ、受けてみることで客観的な今の子供の発達がわかる機会でもあります。就学相談で専門家の意見を聞いてみるのも良い選択肢の一つです。
5-2. 就学相談の申込書の書き方と記入例
就学相談の申込書は、お子さんの発達や特性、必要な支援を学校に伝える重要な資料です。申込書には、お子さんの基本情報、通園・通学先、相談内容、希望する就学先などを記入します。特に、「就学にあたって心配なこと・相談したいこと」の欄では、お子さんの特性や困難さ、必要な配慮などを具体的に書くことが大切です。
申込書の提出はあくまでスタートライン。その後の相談や学校見学を通して、お子さんに合った就学先を見つけていくことが何より重要です。
以下に例として各自治体の様式を紹介しますのでご確認ください。
5-3. 就学相談を勧められたが、断りたい場合の伝え方
「うちの子は大丈夫」と感じていたり、障害があることを受け止められずにいると、就学相談を勧められてもためらってしまうご家庭もあるかもしれません。 そんな時は、まず担当者の方に率直にその思いを伝えてみましょう。
「まだ障害を受容できていない」「通常学級を希望している」など、保護者の気持ちに寄り添ってもらえるはずです。その上で、必要に応じて、園や相談機関から助言をもらうのも一つの方法です。就学相談は義務ではありませんが、お子さんの就学について一緒に考えるチャンスでもあります。ご心配なこと、不安なことを打ち明けながら、教育のプロの意見に耳を傾けてみるのはいかがでしょうか。
まとめ:前向きに就学相談に臨むために
就学相談は、お子さんの新しい可能性に気づくチャンスでもあります。「こんな力があったのか」「こんな風に伸びていくんだ」と、お子さんの成長を感じられる瞬間があるかもしれません。
まずは、就学相談を「お子さんの幸せな未来を拓くチャンス」だと捉え、前向きに臨んでみてはいかがでしょうか?