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保育園と保育所の違いは呼び名だけ!では保育室や託児所とはどう違う?
保育園と保育所は同じもの
多くの方が「保育園」と「保育所」という言葉を耳にしたことがあるでしょう。しかし、この2つの言葉の違いについて詳しく説明できる人は意外と少ないのではないでしょうか。実は、保育園と保育所は児童福祉法上では同じ「保育所」として定義されており、基本的に同じものを指しています。
児童福祉法上の定義
児童福祉法第39条によると、保育所は「日日保護者の委託を受けて、保育に欠けるその乳児又は幼児を保育することを目的とする施設」と定義されています。つまり、保育園も保育所も、保護者が仕事などで子どもの保育ができない場合に、その子どもを預かり、保育するための施設なのです。
呼び名の違いだけ
では、なぜ「保育園」と「保育所」という2つの呼び方があるのか?というと、それは時代によって言葉が徐々に移り変わった結果といえます。
どちらかといえば、現在保育園に通っている子どもたちの祖父母世代などの時代は「保育所」という呼び方が一般的でしたが、近年では「保育園」という呼び方の方が広く使われていいます。しかし、両者の機能や役割に違いはありません。
保育園・保育所の特徴
保育園・保育所は、子育て世帯にとってなくてはならない存在です。ここでは、保育園・保育所の主な特徴について説明します。
保育サービスの提供
保育園・保育所の最大の特徴は、保育サービスの提供です。保護者が仕事や病気、冠婚葬祭などで子どもの保育ができない場合、保育園・保育所が子どもを預かり、保育を行います。保育園・保育所では、子どもの年齢や発達段階に応じた適切な保育プログラムが用意されており、子どもの心身の健やかな成長を支援します。
保育士の配置
保育園・保育所では、専門的な知識と技術を持った保育士が配置されています。保育士は、子どもの発達や保育に関する専門的な教育を受けた専門職です。保育士は、子ども一人ひとりの個性や家庭環境を理解し、きめ細やかな保育を行います。また、保護者からの子育てに関する相談にも応じ、子育ての支援も行います。
国や自治体の監督下にある
保育園・保育所は、国や自治体の監督下にあります。保育園・保育所は、児童福祉法や各自治体の条例などに基づいて運営されており、定期的な監査や指導を受けています。これにより、保育園・保育所の保育の質が一定の水準に保たれ、子どもの安全や健康が守られているのです。
認定こども園という選択肢
近年、保育園・保育所とは別の選択肢として、認定こども園が注目されています。認定こども園について詳しく説明しましょう。
認定こども園とは
認定こども園とは、幼稚園と保育所の機能を併せ持つ施設です。2006年に創設された比較的新しい制度で、幼児教育と保育を一体的に提供することを目的としています。認定こども園には、幼稚園と保育所の両方の良さを生かしつつ、地域の子育て支援も行うという特徴があります。
認定こども園のメリット
認定こども園の最大のメリットは、幼児教育と保育を受けられる点です。幼稚園部分では、幼児教育を行い、小学校以降の教育の基礎を培います。一方、保育所部分では、保育を必要とする子どもを預かり、保育を行います。このように、教育と保育のどちらのニーズにも対応できるのが認定こども園の強みです。
また、認定こども園は地域の子育て支援の拠点としての役割も担っています。例えば、子育て相談や未就園児の親子登園、子育てに関する情報提供などを行っています。このように、認定こども園は、地域全体の子育て力の向上にも貢献しているのです。
認定こども園の種類
認定こども園には、4つの類型があります。
- 幼保連携型:幼稚園と保育所の両方の機能を持ち、一体的に運営される。
- 幼稚園型:幼稚園が保育所的な機能を付加したもの。
- 保育所型:保育所が幼稚園的な機能を付加したもの。
- 地方裁量型:幼稚園・保育所のどちらとも異なる地域の実情に応じた施設。
子育て世帯は、自分のニーズに合った認定こども園を選択することができます。
保育園・保育所と託児所の違い
保育園・保育所と混同されやすい施設に託児所があります。ここでは、保育園・保育所と託児所の違いについて説明します。
託児所の定義と特徴
託児所とは、主に短時間の単発的な預かりサービスを提供する施設です。託児所は、児童福祉法上の定義はなく、自治体の条例などで定められています。託児所の主な特徴は以下の通りです。
- 短時間・単発的な預かり:数時間から1日程度の預かりが中心。
- 保育士の配置基準が緩い:保育園・保育所ほど厳しくない。
- 年齢制限が緩い:0歳から小学生まで幅広く受け入れる。
保育園・保育所との主な違い
保育園・保育所と託児所の主な違いは以下の通りです。
- 保育時間:保育園・保育所は原則として1日8時間以上、託児所は短時間・単発的。
- 保育内容:保育園・保育所は発達段階に応じた保育プログラムを提供、託児所は単なる預かり。
- 保育士の配置:保育園・保育所は厳しい基準あり、託児所は緩い。
- 対象年齢:保育園・保育所は就学前まで、託児所は小学生も対象。
託児所の利用シーン
託児所は、以下のようなシーンで利用されます。
- リフレッシュしたいとき:美容院や買い物、趣味の時間など。
- 急な用事のとき:冠婚葬祭、病院への通院など。
- 保育園・保育所の代替として:休園日や入園前の一時的な預かり。
このように、託児所は保育園・保育所とは異なる役割を担っています。
保育園、保育所と保育室の違い
保育園・保育所と混同されやすいもう一つの施設に、保育室があります。保育室は、東京都の独自制度であり、認可保育所と認可外保育施設の中間的な位置づけにある施設です。
保育室は、0歳から2歳児を対象とした小規模な施設で、定員は20名未満が一般的です。保育室の最大の特徴は、3歳以上児の受け入れを行わないことです。これは、3歳以上児については、教育的な機能を持つ幼稚園や認定こども園での受け入れが適切であると考えられているためです。
保育室の設置基準は、認可保育所よりも緩和されています。例えば、保育士の配置基準や施設の面積基準などが、認可保育所よりも低く設定されています。ただし、保育室は東京都の認証を受ける必要があり、一定の質の確保が図られています。
保育室は、主に都心部で増加しています。これは、都心部では認可保育所の設置が難しいことや、0歳から2歳児の保育需要が高いことが背景にあります。保育室は、こうした地域の保育ニーズに応える重要な役割を担っているのです。
ただし、保育室は3歳以上児の受け入れを行わないため、子どもが3歳になると別の施設に移る必要があります。この点は、保育園・保育所と大きく異なります。保育園・保育所では、0歳から就学前まで一貫した保育を受けられるのが一般的だからです。
まとめ:保育園と保育所は同じもの、ニーズに合わせて選択を
保育園と保育所は、児童福祉法上は同じ「保育所」として定義されており、呼び名が異なるだけで、提供されるサービスに違いはありません。保育園・保育所は、保護者が仕事などで子どもの保育ができないときに、子どもを預かり、保育する施設です。専門的な知識と技術を持った保育士が、子どもの発達段階に応じた適切な保育を行います。
また、保育園・保育所とは別の選択肢として、幼児教育と保育を一体的に提供する認定こども園があります。認定こども園は、幼稚園と保育所の両方の機能を持ち、地域の子育て支援の拠点としての役割も担っています。
一方、託児所は、保育園・保育所とは異なり、短時間・単発的な預かりサービスを提供する施設です。リフレッシュしたいときや急な用事のときに利用されます。
子育て世帯は、自分のニーズに合った施設を選択することが大切です。保育園・保育所、認定こども園、託児所のそれぞれの特徴を理解し、子どもにとって最適な環境を選びましょう。