- 子育てコラム
ダウン症とは?特徴や原因、医療の進歩について理解を深める

こんにちは。「ダウン症」という言葉を耳にしたことがある方でもどんな特徴なのかという詳しい情報を得る機会は意外と少ないかもしれませんね。この記事では、ダウン症の基礎知識から医療情報まで、情報をお届けします。
そもそもダウン症って?基本知識
ダウン症とは何か
ダウン症は、生まれつきの染色体の状態によって起こります。私たちの体の設計図である染色体は通常46本ありますが、ダウン症の方は21番目の染色体が1本多く、合計47本あるのが特徴です。この余分な染色体によって、身体的な特徴や発達の特性が現れます。
ダウン症は世界中のどんな人種にも見られ、肌の色や国籍に関係なく起こります。赤ちゃんが作られる過程で染色体がうまく分かれなかったことが原因と考えられていますが、なぜそれが起こるのかはまだはっきり分かっていません。
どのくらいの頻度で起こるの?
ダウン症は珍しいものではありません。一般的に、約1,000人の赤ちゃんが生まれると、そのうち1人がダウン症と言われています。お母さんの年齢が高くなるほど発生率が上がる傾向があり、20代前半のお母さんでは約1,500人に1人、35歳では約350人に1人、40歳では約100人に1人、45歳では約30人に1人の割合になると言われています。
日本でのダウン症事情
日本では医療の進歩によって、ダウン症の方の平均寿命がとても伸びています。1980年代には平均寿命が約30歳でしたが、今では50歳を超え、60歳近くまで延びているという調査結果もあります。教育環境も整いつつあり、特別支援教育や普通学級での学びなど、様々な選択肢が広がっています。
ダウン症の原因と種類
21トリソミー型(一般的なダウン症)
ダウン症の約95%を占めるのが「21トリソミー型」です。21番目の染色体が通常2本のところ3本になることで起こります。この型は親からの遺伝ではなく、卵子や精子が作られる過程で偶然に起こることがほとんどです。そのため、家族にダウン症の方がいなくても生まれる可能性があります。
モザイク型ダウン症の特徴
モザイク型は、ダウン症全体の約1~2%と珍しいタイプです。体の細胞の一部だけに染色体の異常があり、正常な染色体を持つ細胞と、21番染色体が3本ある細胞が混ざっている状態です。まるでモザイク模様のように見えることからこの名前がついています。
モザイク型の方は、身体的特徴や発達が他のタイプよりも軽いことが多いと言われていますが、これにも個人差があります。見た目だけでは通常の21トリソミー型と区別できないため、染色体検査をしないと分からないことが多いです。
転座型ダウン症について
転座型は全体の約4%を占めます。染色体の数自体は46本ですが、21番染色体の一部が他の染色体(多くの場合は14番染色体)にくっついてしまった状態です。このくっつき方によって、余分な21番染色体の情報を持つことになります。
転座型の特徴は、他のタイプと違って親から遺伝する可能性があることです。親がこの特殊な染色体の配置を持っている「保因者」の場合、子どもに転座型ダウン症が生まれる可能性が高くなります。そのため、家族の病歴がある場合は、遺伝カウンセリングが重要になります。
ダウン症は顔に特徴がある?
一般的な特徴
ダウン症の方には、いくつかの共通した身体的特徴があります。ただし、これらの特徴は人によって違いがあり、全ての方に同じように現れるわけではありません。また、生まれたときよりも、成長するにつれて徐々に特徴が目立ってくることが多いです。
主な身体的特徴としては、筋肉が柔らかい(筋緊張が低い)、関節が柔らかい、手のひらに「猿線(サルセン)」と呼ばれる横一本の線がある、小指が内側に曲がっている、首が短い、身長が平均より低めであることなどが挙げられます。
身体的特徴と個性
ダウン症の方の顔つきに類似性が見られるのは、21番目の染色体が通常より1本多いことで、骨格や筋肉の発達に特定のパターンが出るためです。観察される特徴としては、内眼角贅皮(目頭の皮膚のひだ)、扁平な鼻梁、顔の中央部の低形成、相対的に大きく見える舌(口腔内のスペースが小さいため)、耳介の小型化や低位置などが報告されています。
これらの特徴は顔の中央部より外側が優先的に成長することで表出しますが、その程度には大きな個人差があります。また、家族からの遺伝的特徴も反映されるため、それぞれが個性を持った顔つきを持っています。
出生前診断と発見のタイミング

妊娠中に分かる可能性はある?検査の種類
現在、ダウン症を含む染色体の状態を妊娠中に調べる方法はいくつかあります。非侵襲的出生前検査(NIPT)は、お母さんの血液から赤ちゃんのDNAを分析する検査で、妊娠10週頃から受けられます。結果は確率で示され、確定診断ではありません。
母体血清マーカー検査は、お母さんの血液中のホルモン値などを測定する検査で、妊娠16~18週頃に行われます。これも確率での結果となります。
羊水検査は、羊水中の赤ちゃんの細胞を採取して染色体を調べる検査で、妊娠15~18週頃に行われます。確定診断となりますが、流産のリスク(約0.2~0.3%)があります。
絨毛検査は、胎盤の一部を採取して染色体を調べる検査で、妊娠10~13週頃に行われます。早い時期に結果が分かりますが、流産のリスク(約0.5~1%)があります。
これらの検査を受けるかどうかは個人の選択であり、検査前に十分な説明を受けることが大切です。
エコー検査でわかること
妊婦健診での通常のエコー検査でも、ダウン症の可能性を示すサインが見つかることがあります。例えば、赤ちゃんの首の後ろの透明な部分(NT)が厚い、心臓の構造に異常がある、十二指腸が詰まっているなどの消化管の異常、太ももの骨が短い、鼻の骨がはっきり見えないなどです。
ただし、これらのサインがあってもダウン症ではない場合や、サインがなくてもダウン症である場合もあります。確かな診断には、羊水検査や絨毛検査などが必要になります。
生まれてから分かるケース
すべてのダウン症が出生前に発見されるわけではありません。生まれた後に、特徴的な顔つきや筋肉の緊張が弱いことなどから疑われ、診断されることも少なくありません。特に初めての子育てだと、発達の遅れに気づくのが遅くなることもあります。
生まれた後にダウン症が疑われる場合は、確定診断のために染色体検査が行われます。診断が確定したら、早い時期から適切な医療ケアや発達支援を始めることが大切です。家族への心理的なサポートやカウンセリングも重要です。
診断を受けた時には様々な感情が生じることがあります。同じ経験を持つ家族との交流や専門家のサポートを受けることで、多くの家族は子育てに適応していきます。
ダウン症と寿命の考え方
医療の進歩と平均寿命の変化
ダウン症の方の平均寿命は、医療の進歩によって大きく伸びています。1960年代には平均寿命は10歳程度でしたが、今では50~60歳まで延びています。この寿命の延びは、主に心臓の手術技術の向上、感染症の治療の進歩、栄養や健康管理の改善、早期からの適切な療育・教育の発展によるものです。
現在では、多くのダウン症の方が以前より長寿となり、様々な生活を送っています。
ダウン症の高齢者が少ないと言われる理由
「ダウン症の高齢者をあまり見かけない」と感じる方も多いかもしれません。これにはいくつかの理由があります。まず、今60歳以上のダウン症の方が生まれた時代は、医療技術が今ほど発達しておらず、幼い頃や若い時期に亡くなることが多かったため、高齢のダウン症の方の数自体が少ないのです。
また、ダウン症の方は一般的に早く老化する傾向があり、40~50代から老化に関連する症状が現れることがあります。さらに、ダウン症の方は40歳頃からアルツハイマー型認知症になるリスクが高くなります。これは21番染色体上にアルツハイマー病に関連する遺伝子があるためと考えられています。
しかし、今の医療と支援の進歩により、この状況は少しずつ変わりつつあり、健康に年を重ねるダウン症の方も増えています。
合併症のリスクと予防・対応
ダウン症の方は、いくつかの健康上の問題を合併するリスクが高いため、定期的な健康管理が重要です。主な合併症と対応策を見ていきましょう。
心臓の病気は、約40~50%のダウン症の方が生まれつき持っています。特に心臓の中の壁に穴が開いているタイプの病気が多く、早期発見と適切な治療が必要です。生まれてすぐの心臓のチェックと、定期的な検査が大切です。
消化器系の病気としては、十二指腸閉鎖や肛門がない状態(鎖肛)などの先天性の異常がある場合があります。また、成長とともに便秘や胃から食道への逆流などの問題も起きやすいため、適切な食事管理や必要に応じた薬物療法が重要です。
甲状腺の機能低下症はダウン症の方によく見られる合併症です。定期的な甲状腺機能検査と、必要ならホルモン補充療法が勧められます。
目や耳の問題も起きやすく、白内障、斜視、近視などの目の問題や、難聴や繰り返す中耳炎などの耳の問題が出やすいため、定期的な検査と早めの対応が重要です。
睡眠時無呼吸症候群は、顔の構造や筋肉の緩みにより、睡眠中に呼吸が止まってしまう状態です。いびきや日中の強い眠気がある場合は、睡眠検査と適切な治療が必要です。
頸椎(首の骨)の不安定性があると、特定のスポーツや活動で脊髄を傷つけるリスクがあるため、3歳頃と10歳前後にレントゲン検査を行うことが勧められています。
肥満と関連する病気も気をつけたい点です。代謝が遅く運動量が少ないと肥満になりやすいため、バランスの良い食事と定期的な運動が大切です。
これらの健康問題に早く気づき、早めに対応するために、ダウン症に詳しい医療チームによる定期的な健康チェックが推奨されています。多くの医療機関では、ダウン症の方のための健康管理の指針に沿った診察を行っています。
ダウン症の支援に関するトピックを追加しましょう。以下に、記事の最後半に追加する部分を作成しました:
ダウン症のある方への支援
早期療育の効果
ダウン症のお子さんには、早い時期からの療育が効果的です。生後6ヶ月頃から始める療育では、運動発達や言語発達を促すためのトレーニングが行われます。理学療法や言語療法、作業療法などを通じて、基本的な運動機能や日常生活のスキルを身につけていきます。
療育センターや児童発達支援施設では、専門家によるサポートを受けることができます。また、家庭でもできる簡単な運動や遊びを取り入れることで、日常的に発達を促すことが可能です。
教育の選択肢
ダウン症のあるお子さんの教育には、いくつかの選択肢があります。特別支援学校、普通学校の特別支援学級、普通学級での交流など、お子さんの発達状況や家庭の希望に合わせて選ぶことができます。日本の調査によると、小学校では普通クラス、特別支援クラス、特別支援学校にそれぞれ約3分の1ずつの割合で進学しています。
教育環境を選ぶ際は、お子さんの特性や得意なこと、苦手なことを考慮しながら、最も適した環境を見つけることが大切です。教育委員会や支援施設のアドバイスも参考になります。
利用できる福祉サービス
ダウン症のあるお子さんとご家族が利用できる福祉サービスには以下のようなものがあります。
・障害児福祉手当:20歳未満で重度の障害がある方に支給される手当
・特別児童扶養手当:障害のあるお子さんを育てる保護者に支給される手当
・自立支援医療:医療費の自己負担額が軽減される制度
・放課後等デイサービス:学校の授業終了後や長期休暇中に療育や活動を提供するサービス
・移動支援:外出時のサポートを受けられるサービス
これらのサービスを利用するには、お住まいの市区町村の窓口で相談し、必要な手続きを行います。多くの場合、療育手帳や身体障害者手帳の取得が必要になります。
大人のダウン症の方の生活
成人したダウン症の方の生活は多様です。働く場としては、一般企業での就労、就労継続支援事業所(A型・B型)、生活介護施設などがあります。近年では、カフェやパン屋、アート活動など、様々な分野での活躍の場が広がっています。
住まいについても、家族と同居する方、グループホームで生活する方、施設で暮らす方など、様々な選択肢があります。調査によると、20代までは約8割の方が自宅で生活していますが、30〜45歳になると自宅が約4〜5割、施設が約4〜5割となり、グループホームが約1〜2割と変化していきます。
生涯を通じて健康管理や社会参加の支援が大切で、それぞれの年齢や状況に合わせた支援の形があります。
引用元:
ダウン症自然歴研究委員会「ダウン症の自然歴調査」(2010年)
北海道小鳩会「ダウン症者の生涯を通しての健康管理について」(2010年)
まとめ
ダウン症は21番染色体が1本多いことで起こる先天的な状態です。特徴的な顔立ちや発達の遅れ、様々な健康上のリスクがありますが、医療の進歩により多くの合併症に対する治療法が発展してきました。
これから社会でも「インクルーシブ」の考え方が広がり、支援が進んでいくことを期待したいですね。