2024.05.06
  • コラム

早生まれと遅生まれの違いをわかりやすく解説!学年の違いはどう変わる?

早生まれ・遅生まれとは?

早生まれと遅生まれの定義

早生まれと遅生まれは、日本の学校制度に関連した言葉です。わかりやすく言うと、1月1日から4月1日までに生まれた子どもを「早生まれ」、4月2日から12月31日までに生まれた子どもを「遅生まれ」と呼びます。この違いは、学年とのずれから生じています。

学年とのずれとは?

日本の学校では、4月1日を境に新学年がスタートします。そのため、同じ学年でも、早生まれの子は遅生まれの子よりも最大で約1歳年下になります。この年齢差が、学校生活や発達の面での差につながることがあります。

遅く生まれたのに「早」生まれ。その由来は数え年

「早生まれ」という言葉の由来は、日本古来の数え年の考え方にあります。数え年では、1月1日を年齢の区切りとします。そのため、4月1日に学年がスタートする学校制度では、同じ学年の中で早生まれの子は年少となります。

数え年と満年齢の違い

数え年は、1月1日を基準に年齢を数えるのに対し、満年齢は生まれた日を基準とします。つまり、早生まれの子は、満年齢よりも数え年の方が高くなる傾向にあるのです。この違いが、学年との違いを生むことになります。

なぜ4月1日と2日で学年が変わるの? わかりやすく説明!

学校教育法による学齢の決め方

日本の学校教育法では、4月2日を学年の区切りとしています。この日を境に、4月1日以前に生まれた子どもは上の学年、4月2日以降に生まれた子どもは下の学年に属することになります。つまり、たった1日の違いで、学年が変わってしまうのです。

学校教育法の成り立ち

この学年の区切りは、1947年に施行された学校教育法に基づいています。当時、多くの子どもが農家の手伝いなどで学校に通えない状況を改善するため、4月入学制が導入されました。以来、4月2日が学年の境目として定着したのです。

満年齢と数え年の違い

学年の区切りが4月2日となった背景には、満年齢と数え年の違いがあります。数え年は、その年の1月1日時点での年齢を表すのに対し、満年齢は生まれた日から数えた実際の年齢を表します。学校教育法では、この数え年の考え方が採用されているのです。

早生まれの子の満年齢と数え年

例えば、1月1日生まれの子どもは、4月1日の時点で満年齢は0歳ですが、数え年では1歳となります。この数え年の年齢を基準に、学年が決定されるため、早生まれの子は同学年の中で最も年少となるのです。

早生まれのメリットはある?

早く教育を受け始められる

早生まれの子は、同学年の中では年齢が若いため、幼稚園や保育園での教育を早く始められるというメリットがあります。これにより、集団生活への適応や学習面での刺激を早い段階から受けられます。つまり、ひとつのクラスや学年という単位で考えれば、最大1歳分幼い月齢で教育を受けないといけないと言える一方、早期教育を受けることができると考えればメリットもわかりやすくなるのではないでしょうか。

幼少期の教育の重要性

近年の研究では、幼少期の教育の重要性が指摘されています。特に、言語や社会性の発達において、早期の教育が大きな役割を果たすと言われています。早生まれの子は、こうした教育的恩恵を受けやすい環境にあると言えるでしょう。

長期的には生涯賃金に差が出る可能性も

早生まれの子は学年が上がるのが1年早いため、就職や社会人としてのスタートも早くなります。長期的に見れば、生涯賃金に差が出る可能性もあると言えるでしょう。

社会人としてのアドバンテージ

社会に出るのが1年早いということは、キャリアの面でもアドバンテージになり得ます。早い段階から社会人としての経験を積むことができるため、同年代の遅生まれの人と比べて、キャリア形成において有利になる可能性があるのです。

逆に早生まれのデメリットはどんなことが考えられる?

体力面・学力面で差が出やすい

一方で、早生まれの子は同学年の中で体格や体力、学力の面で差を感じやすいというデメリットもあります。特に未就学児や小学校低学年の時期などは、ひと学年の年齢差が大きく影響する場合があります。

例:運動能力の差

例えば、体育の授業では、早生まれの子は体格や筋力の面で不利になりがちです。この時期の子どもは、ほんの数ヶ月の差でも、運動能力に大きな開きが生まれるのです。こうした差が、学校生活におけるストレスや本人の自己肯定感の低下につながることもあるかもしれません。

保育園に入りづらい・手当の期間が短い

また、4月入園の保育園が多いため、早生まれの子は満年齢の関係で入園が難しくなるケースがあります。加えて、各種手当の受給期間も遅生まれの子と比べると短くなってしまいます。

保活の難しさ

特に、共働き家庭にとって保育園の確保は大きな問題です。早生まれの子は、満年齢の関係で入園基準を満たせないことがあり、保活に苦戦するケースが少なくありません。この問題は、早生まれの子を持つ親にとって大きな悩みの種となっています。

そうは言っても長い目で見れば”たかが1年”?

当然個人差の方が大きい

早生まれと遅生まれの発達差については、統計的には多少の違いが見られるものの、個人差の方がはるかに大きな要因だと言われています(自分自身や周囲の知人で考えてもそうですよね)。

発達のペースは一人ひとり異なる

子どもの発達は、個人差が非常に大きいのが特徴です。早生まれだから発達が遅い、遅生まれだから発達が早いというわけではありません。むしろ、一人ひとりの子どもの発達のペースを尊重することが大切だと言えます。

差は成長とともに解消される

仮に早生まれの子に発達の遅れが見られたとしても、その多くは成長に伴って解消されていきます。むしろ、周囲と比較されることによるストレスの方が問題視されることもあります。

成長に伴う差の縮小

例えば、小学校低学年で見られた運動能力の差も、高学年になるころには縮小していきます。子どもの成長のスピードには個人差があるため、一時的な差があったとしても、長期的には解消されていくことが多いのです。

早生まれの子の育て方の心構え

月齢に関係なく、必要なフォローを

早生まれだから、遅生まれだからと決めつけるのではなく、一人ひとりの発達の度合いに合わせて子育てを行うことが肝心です。月齢に関係なく、その子に必要なフォローをすることが大切だと言えます。

子どもの個性を尊重する

子育ての基本は、子どもの個性を尊重することです。早生まれ、遅生まれに関わらず、それぞれの子どもの長所を伸ばし、短所をフォローしていくことが大切です。画一的な基準で子どもを評価するのではなく、一人ひとりに合った育て方を心がけましょう。

他の子と比べすぎない

早生まれの子を他の子と比べて、「まだこれができない」と焦ったり、劣等感を抱かせたりしないよう注意しましょう。あくまで、その子なりの成長のペースを尊重することが重要です。

偉大な功績を残した早生まれの著名人もたくさん!

当然、早生まれにも偉大な功績を残した著名人はたくさんいます。そのほんの一部を紹介しましょう。

早生まれの著名人

ノーベル賞受賞者

  • 大江健三郎(文学賞):1月31日
  • 本庶佑(生理学・医学賞):1月27日
  • 吉野彰(化学賞):1月30日
  • 湯川秀樹(物理学賞:1月23日
  • 朝永振一郎(物理学賞:3月31日

芸術・文化・スポーツ

  • 尾田栄一郎(漫画家):1月1日
  • 宮崎駿(映画監督):1月5日
  • 宇多田ヒカル(歌手):1月19日
  • 内田篤人(サッカー選手):1988年3月27日
  • 中田英寿(サッカー選手):1977年1月22日

海外における早生まれと遅生まれの扱いをわかりやすく解説!

カナダの事情

カナダでは、学年は基本的に生まれ年で決まります。日本では早生まれとされる1月~3月生まれの子どもも、カナダでは同学年の中では年長者という立場になります。ただし、子どもの成長度合いに応じて、親の判断で入学を1年遅らせることも可能です。

アメリカの状況

アメリカの学校は一般的に9月から新年度が始まりますが、学年の区切りとなる誕生日は州や地域によって異なります。アメリカでも子どもの成長度合いに応じて、小学校入学を1年遅らせることができ、飛び級・留年も各校の判断で行われています。

イギリスの学制

イギリスの学校は9月に始まり、学年の区切りも9月1日です。小学校入学時には一定の基礎学力が求められるため、学年の区切り間際の子どもは1年入学を遅らせることが可能です。また、小学校では飛び級や留年が頻繁に行われています。

フランスの教育事情

フランスの学校は9月から始まりますが、学年の区切りは1月1日です。早生まれの子どもについては、学年を遅らせることが可能です。なお、フランスでは2019年から義務教育の開始年齢が3歳に引き下げられました。

オーストラリアの実情

オーストラリアでは1月末か2月初めに新年度が始まりますが、学年の区切りは州によって異なります。子どもの成長に合わせて入学時期を選ぶことが一般的で、学校教育は全体的にのんびりしている傾向にあります。

このように、早生まれ・遅生まれの扱いは国によって様々ですが、多くの国で子どもの成長度合いに合わせて柔軟に対応する仕組みが整えられています。日本でも、一人ひとりの発達段階に応じた教育が求められていると言えるでしょう。

まとめ

早生まれと遅生まれにはそれぞれ特性がありますが、どちらが優れているということはありません。大切なのは、一人ひとりの子どもの個性や成長のペースに合わせて、適切な支援をしていくことです。

早生まれの子には、月齢に関係なく必要なフォローを心がけ、他の子と比べすぎないことが大切です。一方、遅生まれの子には、周りに流されない独自の視点を伸ばしていくことが重要でしょう。

早生まれだから、遅生まれだからと決めつけず、それぞれの良さを伸ばしていける環境を作ることが何より重要です。子どもの可能性を狭めることなく、一人ひとりの成長を支えていく社会でありたいものです。

早生まれと遅生まれの違いについて、わかりやすく解説しました。子育ての際には、子どもの個性を尊重し、適切な支援を行うことが大切だと言えます。早生まれだからといって不利になることはありません。むしろ、一人ひとりの特性を活かした子育てを心がけることが、子どもの健やかな成長につながるのです。

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