2024.08.06
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子供が発達障害・グレーゾーンであることの周囲への開示に関するアンケートを実施しました

アンケート実施の経緯

こんにちは、テテトコ運営チームです。
このたび私たちは、発達障がいまたはグレーゾーンの子どもを育てている保護者向けにアンケートを実施しました。

私たちは、発達障がいまたはグレーゾーンの子どもを育てる保護者向けのSNSアプリ『テテトコ』を運営しています。運営にあたり当事者家族や支援関係者の皆様と交流する中で、以下の点に課題があると感じました。

  • 当事者家族同士のつながりを作る機会が提供されていないこと
  • 子どもの発達特性について周囲に開示しづらい社会の空気があり、当事者家族の孤立をより一層深めていること

今回のアンケートでは、

  • 当事者家族が周囲に子どもの発達特性について開示をしているか
  • 開示を控える理由

を調査することで、当事者家族の孤立を防ぐ手立てを考えるヒントになればと考えました。また、上記質問を以下の3グループにおこない、結果の比較をおこないました。

  • 発達障がいの診断がおりているグループ
  • グレーゾーン・様子見とされているグループ
  • まだ診察を受けていないグループ

アンケート対象者データ

  • 調査会社:株式会社ZIZO
  • 対象:発達障がい・グレーゾーンの子を持つ男女(21〜49歳)
  • 調査期間:2024年7月22日〜7月25 日
  • 有効回答数:600人
  • 調査方法:インターネット調査

アンケート結果

設問1:お子様の診断状況を選択してください

選択項目回答数
発達障がいの診断がおりている287
グレーゾーンまたは様子見と言われている210
まだ受診していない103

設問2:お子様が発達障がいまたはグレーゾーンであることを友人や知人に開示していますか?

※アンケートには、本設問における「友人・知人」=主に学校や園などで知り合ういわゆるママ友・パパ友を指す旨を記載。

すべての回答者(n=600)の回答

選択項目回答数割合
広く開示している13722.8%
一部にしか開示していない28948.2%
まったく開示していない17429.0%

本アンケートでは、「一部にしか開示していない」「まったく開示していない」と答えた回答者を「開示を控えているグループ」として集計。全体では、77.2%が周囲への開示を控えているという高い割合となりました。

また、設問1で回答いただいた診断状況ごとにクロス集計をおこなっており、診断状況ごとの開示に関する意識の違いを下記のとおり調査しました。

設問1において「発達障がいの診断がおりている」と回答した回答者(n=287)

選択項目回答数割合全体との差
広く開示している9633.4%+10.6%
一部にしか開示していない14751.2%+3.0%
まったく開示していない4415.3%−13.7%

子どもに発達障がいの診断がおりている回答者では、開示を控えているグループの割合は64.5%となり、やや低下します。診断がおりていると回答したユーザーの中に多く含まれている、特別支援学校や特別支援級に所属する児童の当事者家族の場合は、同級生のママ友との交流の場が自然と生まれるからではないか?と考えられます。

設問1において「グレーゾーンまたは様子見と言われている」と回答した回答者(n=210)

選択項目回答数割合全体との差
広く開示している3014.3%−8.5%
一部にしか開示していない11152.9%+4.7%
まったく開示していない6932.9%+3.9%

グレーゾーンの子を持つ回答者では、開示を控えているグループの割合は85.8%と大きく上昇
一般的に、グレーゾーンの子どもの中には学校で通常級に所属しながら障害児通所支援などで支援を受けている児童も多く含まれます。特別支援学校や特別支援学級に所属する場合に比べ、当事者家族にとって「周囲にオープンにしづらい」と言う意識がより強い可能性が考えられます。

設問1において「まだ受診していない」と回答した回答者(n=103)

選択項目回答数割合全体との差
広く開示している1110.7%−12.1%
一部にしか開示していない3130.1%−18.1%
まったく開示していない6159.2%+30.2%

子どもに発達障がいの可能性を感じながらまだ受診には至っていないユーザーでは、開示を控えているグループの割合は89.3%とさらに上昇。医師や専門家の受診を経ていない段階であるため、不確かな状況で周囲に開示することが難しいのではないか、と推察されます。

設問3:周囲への開示を控える理由として当てはまるものを全てお選びください

開示を控えているグループのみへの質問として設問3を設定。周囲に子どもが発達障がいやグレーゾーンであることを”言わない”理由を質問しました。

選択項目回答数割合
誤解や偏見をもたれるかもしれないから20143.4%
子供の交友関係に悪影響を及ぼすかもしれないから15733.9%
発達障がいに関して理解してもらえないと感じるから14731.7%
周囲に気を使わせるのが嫌だから12126.1%
どれも当てはまらない9119.7%
自分の交友関係に悪影響を及ぼすかもしれないから469.9%

「誤解や偏見を持たれるかもしれないから」が突出して高く「子供の交友関係に悪影響を及ぼすかもしれないから」「発達障がいに関して理解してもらえないと感じるから」が続きました。この結果には、大きく以下二つの、当事者家族の気持ちが表れていると考えられます。

  • 発達特性を周囲に知られることで、子どもが友だちと交友関係を保てなくなるという不安を感じている
  • 発達障がいに関する理解がまだ社会全体において十分ではないと感じている

アンケートをおえて

今回のアンケート結果は、”当事者家族の孤立化”という我々の懸念をより強固にするものになったと感じています。

ママ友やパパ友の輪に入りづらくなっているのではないか?

一般的に多くの子育て世代は、周囲の友人やママ友・パパ友と交流する中で、子育てについての情報や意見を交換します。しかし、発達障がいやグレーゾーンの子を育てる当事者家族の多くが、子どもの発達特性の話題を避けながら会話に参加していると考えられ「子育ての話題に参加しづらい」「ありのままを正直に話しづらい」という気持ちから交流に消極的になり、孤立化してしまっている側面があるのではないでしょうか?

ただし、一様に子どもの発達特性を周囲に明らかにすることが、子ども自身や当事者家族の生きやすさにつながるとは限らないことも事実です。あくまで大切なのは「当事者家族が状況に応じて周囲への情報の開示・非開示を自由に選択できる環境」ではないでしょうか。

“言えないこと”が当事者家族同士が知り合う機会すら減少させていないか?

「周囲に言えない」という状況は、同じ立場の当事者家族同士が知り合う機会すら逸することにも繋がります。発達障がいは外見ではわからないことが多く、仮に子どもが通常級に所属している場合、普段の学校生活の中で当事者家族同士が自然と知り合う機会は稀です。
同じ立場・境遇の当事者家族同士が気楽に子育てや発達に関する情報交換をおこない、悩みの共有や相談ができる場がもっと必要ではないかと考えます。

私たちはテテトコというSNSアプリを通じて、「子どもの発達の話をもっと気軽に当たり前にできる」コミュニティを当事者家族に提供してまいります。

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