2024.05.05
  • コラム

子供が否定ばかりする…。子供の心理と親が心がけたいコミュニケーションって?

子育ての中で、「言うことを聞かない」「自分の意見ばかり押し通そうとする」など、子供の言葉づかいや態度が気になってしまうことってありますよね。でもそんな「否定」も、実は子供の成長過程では自然なことかもしれません。大切なのは、親子のコミュニケーションを通して、子供の自我を温かく育んでいくこと。そのためには、子供の気持ちに寄り添い、適切な関わり方を知ることが欠かせません。

この記事では、子供が否定ばかりする行動の背景にある心理や発達段階の特徴を解説しつつ、親子の信頼関係を築くコミュニケーションの方法について考えてみます。「否定から入る子供」への具体的な対応法や、自我の育ちを支えるポイントについても説明していきます。

子供の否定的な行動・言動が増える理由

子供が成長するにつれ、自我が目覚め、自分の意思をはっきりと主張したくなる時期が訪れます。「自分は親とは違う存在なんだ」と自覚し始め、親への依存と自立のバランスを探りながら、自己肯定感を育んでいく大切な時期でもあります。この頃の「否定」は、自己主張の表れと捉えることができるでしょう。

子供の発達段階を見ると、2歳頃のイヤイヤ期、小学生の自我の芽生え、思春期の反抗期などで「否定」の現れ方が変化します。イヤイヤ期は自我が芽生え始める時期で、「自分でやる!」と主張し始めます。親の言うことに「イヤ」と拒否することが多くなりますが、これは自分の意思を表現する練習の一環と言えます。小学生では自我が確立されつつある時期で「中間反抗期」と呼ばれることも。親の意見に反発しながらも、自分の考えを持とうとします。「親と違う自分」を主張するための「否定」が増えてくるのです。反抗期は自我が確立に向かう時期で、親の価値観を否定したり、激しく反発してしまうことも少なくありません。自分にも覚えがあるという親御さんも多いのではないでしょうか 笑

こうした「否定」の連続に、戸惑ったりイライラしてしまうこともあるかもしれませんが、それぞれの時期に応じた親の関わり方があることを知っておくことが大切です。子供の「否定」を頭ごなしに押さえつけようとするのではなく、その裏にある子供の気持ちを汲み取ることが大切です。

否定ばかりする子供の心理とタイプ

否定ばかりする子供には、いくつかのタイプがあります。

反射的に否定タイプ

まず、無意識に否定してしまう子供。自分でも気づかないうちに否定的な言葉が口をついて出てしまうことがあります。例えば友達から「このゲームがおもしろかったよ!」と感想を聞かされたときに「でも、すぐに難しくなるからおもしろくないよ」と言ってしまうなど、相手の言った言葉の反対の言葉を反射的に言ってしまうのです。

親への反抗タイプ

次に、親の言うことを聞きたくない子供。自己主張が強く出る時期特有の反応と言えます。「勉強しなさい」と言われれば、「勉強なんてつまらない」と反発する。「早く寝なさい」と言われれば、「もう少し遊びたい」と抵抗する。親の指示に反発することで、自分の意思を表現しており、時として反対すること自体が目的のようになってしまうことも…。

自信なしタイプ

また、自信のなさや不安から反発するタイプもいます。「こんなの絶対無理」と言って、新しいことへの挑戦を避けようとする子供の心理には、失敗への不安が隠れているかもしれません。「できない自分」を認めたくない気持ちから、否定的な言葉を発してあらかじめ心にバリアを作ってしまいます。

完璧主義タイプ

親の期待に応えようと完璧主義になる子供も、否定的な言葉を口にしがちです。「こんな出来じゃダメだ」「もっと上手にできないと」と、自分自身を否定しがち。高い理想を持つ反面、自分に自信が持てないために、否定的な自己評価に陥ってしまうのです。

このように、子供の否定的な態度の背景には、さまざまな心理が潜んでいます。「自分の意思を持ちたい」「親と違う存在であることを示したい」「失敗を恐れている」「完璧でありたい」など、子供なりの精一杯の自己表現だと理解してあげたいですね。子供の否定的な言葉をそのまま受け止めてイライラしていまうのではなく、その裏にある子供の気持ちに寄り添いながら、建設的な対話を心がけましょう。

否定ばかりする子供への前向きな対応法

褒めることが大切!肯定的な態度で接する

否定ばかりする子供に対しては、肯定的な受け止めと共感が大切です。子供の意見を頭ごなしに否定するのではなく、まずは「そう思ったんだね」と受け止めてあげましょう。例えば野菜を嫌いだと否定したときには「野菜が嫌いなんだね。どんな野菜が苦手?どういうところ?」など、子供の気持ちを引き出すような問いかけも効果的です。子供の気持ちに耳を傾け、共感することで、子供は自分の気持ちを受け止めてもらえたと実感できるのです。

その上で、子供の選択や決定を尊重しつつ、必要に応じて建設的な提案で代替案を示すのも良い方法です。例えば、子供が「宿題やりたくない!」と言ってきたら、「そうだね。宿題は楽しくないよね」と共感した上で、「じゃあ、30分だけ頑張ってみようか。30分頑張ったら、好きなことしていいよ」と提案するなどです。子供の気持ちを受け止めつつ、前向きな行動を促すことができます。

また、子供の「頑張り」を認め、ほめることも大切です。「宿題が終わったね。よく頑張ったね」「嫌いな野菜も少し食べられたね。エライ!」と、子供の努力を認めることで、子供は自信を持てるようになります。小さな成功体験を積み重ねることが、自己肯定感を高めることにつながるのです。

結果よりも過程を大切に。努力を褒める

失敗した時は、結果ではなく努力したことを認めてあげましょう。「テストの点数は思うようにいかなかったけど、毎日コツコツ勉強していたね。その努力は必ず報われるよ」と励ますことで、子供は挑戦する勇気を持てるようになります。失敗を恐れず、自分の可能性に挑戦する姿勢は、自我の確立につながるのです。時には親も一緒に失敗から学ぶ姿勢を見せることで、子供はさらに挑戦する勇気を持てるようになるかもしれません。

「自分で決めた」経験が子供の自立心を育てる

また、日常生活の中で、子供が自分で選んだり決めたりする機会を多く与えることも大切です。洋服選びや遊びの内容、時間の使い方など、子供の意思を尊重し、自己決定の経験を積み重ねることが、自立心を育てることにつながります。「おやつは、クッキーとアイスクリームのどっちにする?」「靴下はどっちの色にする?」など、日常生活の中の些細なことでもいいので、子供に選択肢を与え、選ぶ楽しさを味わってもらいましょう。

失敗を怖がらない

時には失敗を恐れずに決断する経験も大切です。「サッカーを習いたい」と言う気持ちがあっても、うまくいくかどうか不安な子供もいるでしょう。そんな時は、「もし失敗しても大丈夫。経験することに意味があるんだよ」と背中を押してあげましょう。たとえ失敗しても、そこから学ぶことは多いはずです。子供の自主性を信頼し、見守る姿勢が何より大切なのです。

親子の信頼関係を築くコミュニケーション

子供との信頼関係づくりには、日頃からのコミュニケーションが欠かせません。まずは子供の話に耳を傾け、共感的に受け止めること。「そんなことがあったんだね」「嬉しかったんだね」と、子供の気持ちを言葉にして伝え返すことで、子供は自分の感情を受け止めてもらえたと実感できます。子供の些細な話も、真剣に聞く姿勢が大切なのです。

また、親自身も肯定的な言葉がけを心がけましょう。「上手にできたね」「諦めずによく頑張ったね」など、子供の良いところを見つけて伝えることが大切です。子供の日常の些細な行動にも、ほめるポイントはたくさんあるはずです。「お皿を運んでくれてありがとう」「お友達と仲良く遊べたね」など、習慣になっている行動でもあっても。こまめに褒める習慣をつけたいですね。

同時に、親自身の感情表現にも気をつけたいところです。怒りや不安を露わにすると、子供も感情的になりがちです。もちろん、親も人間なので難しい時はありますが、まずは冷静に、感情的になりそうな時は、一呼吸置いて、冷静になってから子供に接するようにしましょう。

まとめ

子供が否定ばかりする行動は、自我の芽生えの表れであり、子供の成長過程では自然なこと。親としては、否定の裏にある子供の気持ちを汲み取り、肯定的に受け止めていくことが何より大切です。怒ったり、否定したりするのではなく、子供の気持ちに寄り添い、共感的に理解することが求められます。

日頃からの親子の信頼関係が、子供の自立への土台になっていくのです。子供の良いところを見つけて褒め、失敗しても励まし、自己決定の機会を与えることで、子供の自我の育ちを支えていきましょう。子供の「否定」に振り回されることなく、長い目で子供の成長を見守る姿勢が大切です。

子育ての悩みは尽きないかもしれませんが、子供の成長に寄り添い、温かく見守っていく姿勢を大切にしたいですね。親子の絆を深めながら、子供の自立を支える喜びを感じられる毎日を過ごしていきたいものです。

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