2024.05.13
  • コラム

子供がすぐ怒る…発達障害の可能性を視野に入れながら原因と対処法を探る

「子供が最近すぐ怒っちゃう…」子育て中のパパやママなら、一度は頭を悩ませたことがあるのではないでしょうか。子供がすぐ怒ったり、キレたりする姿を見ると、親としてはどうしたらいいのか戸惑ってしまいますよね。また、年齢に応じて怒り方もさまざまで「落ち着いたと思ったらまた」なんてことも。

でも実は、子供がすぐ怒るのは、ある意味では成長の証なのです。怒りの感情をコントロールする力が徐々に備わっていく過程で、一時的にそういった行動が目立つようになることも珍しくありません。大切なのは、親がその怒りの裏にある子供の気持ちを汲み取り、適切に対処していくことです。

ここでは、子供がすぐ怒る原因と、そのときの具体的な対処法をお伝えします。怒りっぽくなったわが子との向き合い方のヒントが見つかれば幸いです。

子供がすぐ怒るのはなぜ?5つの理由

まずは、子供がすぐ怒ってしまう理由を探ってみましょう。子供の怒りの背景には、さまざまな要因が潜んでいます。

感情のコントロールがまだ難しい時期だから

子供は、大人のように感情をうまくコントロールすることが苦手です。喜怒哀楽の感情が次々と押し寄せてくる中で、特に怒りの感情は表に出やすく、すぐにあらわれてしまうのです。自分でも、なぜこんなに怒っているのかわからず、戸惑っている子供も少なくありません。

ストレスがたまりやすいから

大人だって、ストレスがたまるとイライラしてしまうことがありますよね。子供も例外ではありません。学校や習い事、友達関係などさまざまなストレスを抱えている子供は、怒りが爆発しやすい状態にあるのです。

自己主張が強くなるけど、上手に伝えられないから

子供は成長とともに自我が芽生え、「自分」というものを強く意識するようになります。自分の考えややりたいことをはっきり主張できるようになる一方で、うまく言葉で伝えられないもどかしさから、怒りという形で表現してしまうことがあるのです。

言葉より行動で表現してしまうから

怒っている理由や気持ちを言葉ではうまく説明できなくても、怒りという行動ならできてしまいます。言葉の発達がまだ追いついていない子供の場合、怒るという行動が先走ってしまう傾向にあります。

親に構ってほしくて甘えたいから

怒るということは、実は親に甘えているサインでもあります。わざと親を怒らせることで、親の関心を引こうとしている場合も。怒られたとしても、親が自分に向き合ってくれることが、子供にとっては安心につながるのです。

子供のすぐ怒る行動の裏にある気持ちを理解しよう

子供がすぐ怒ると、親はつい「また怒ってる」「なんでそんなことで怒るの?」と思ってしまいがちです。でも、大切なのは、怒っている子供を頭ごなしに否定するのではなく、その怒りの裏側にある子供の気持ちに寄り添うことなのです。

怒りの感情は実は二次的なものだと知る

怒りの感情は、実は悲しみや不安、恐れといった感情の裏返しであることが少なくありません。泣いたり不安がったりする代わりに、怒ってしまうのです。大人とは少し違う感情の推移ですよね。怒りの奥にある本当の感情は何なのか、考えてみましょう。

怒りの根っこにある本当の気持ちを汲み取る

「どうしてそんなに怒ってるの?」と問いかけるよりも、「〇〇できなくてくやしかったんだね」「〇〇に行きたかったのに行けなくて悲しいんだね」と、怒りの根っこにある気持ちを汲み取る言葉をかけてみましょう。怒る子供の気持ちを親が代弁してあげることで、子供は自分の感情を整理しやすくなります。

子供の感情をまずは受け止めることが大切

怒っている子供の気持ちをわかってあげたいと思っても、怒鳴られたりするとつい感情的になってしまうこともあるかもしれません。でも、子供の感情をまずは否定せずに受け止めてあげることが何より大切。「そうか、〇〇して怒ってるんだね」と共感の言葉をかけてあげましょう。そうすることで、子供は安心して自分の気持ちを表現できるようになっていきます。

子供がすぐ怒ったときの具体的な対処法

では、実際にすぐ怒る子供にどう対処すればいいのでしょうか。怒っている最中の子供に向き合うのは、親にとっても一苦労ですよね。ここでは、具体的な対処法をお伝えします。

なぜ怒っているのか一緒に考える

「なんでそんなに怒ってるの?」と聞くのではなく、「何があって怒ったの?」「どんなことがイヤだったの?」と、怒るに至った理由を一緒に探ってみましょう。子供なりの理由があるはずです。怒っている理由がわかれば、その気持ちに共感してあげることができます。

怒りが収まるまで見守る

怒っているまっただ中の子供に、いきなり冷静になれと言っても難しいもの。まずは、怒りの感情が収まるまで、あたたかく見守ってあげましょう。「怒ってもいいんだよ」というメッセージを送ることが大切です。

言葉にできない気持ちを代わりに伝える

子供は、自分でも何に怒っているのかわからないことがあります。そんなときは、「〇〇するのは嫌だったんだね」「〇〇したくてたまらなかったんだね」と、子供の気持ちを代弁してあげましょう。言葉にできない気持ちを言語化してもらえることで、子供は安心します。

冷静になってから状況を説明する

怒っている最中に理屈を説いても、子供には伝わりません。まずは、子供が落ち着くのを待ちましょう。そして、冷静になったら、なぜダメだったのか、どうすればよかったのかを具体的に説明します。怒った後の方が、子供も聞く耳を持ってくれるはずです。

暴力や暴言にはきっぱりNOと伝える

怒りからくる暴力や暴言に関しては、毅然とした態度で接することが必要です。人を叩いたり、物を壊したり、ひどい言葉を浴びせたりすることは絶対にいけないことだと、はっきり伝えましょう。そのうえで、怒る気持ちはわかるけれど、暴力は違うということを教えることが大切です。

子供が気分を切り替えられる工夫をする

怒りが収まったら、早めに気分を切り替える工夫をしてみましょう。「おやつでも食べに行こうか」「外に遊びに行こうか」など、子供の好きなことを提案してみてください。怒っていた気持ちも、楽しいことをすることで和らいでいきます。

怒る以外の感情表現を身につけるコツ

すぐ怒ってしまう子供には、怒る以外の感情表現を身につけさせることも大切です。イライラしたときや悲しいときに、どうすればいいのか。子供と一緒に考えてみましょう。

言葉で気持ちを伝える練習をする

「嫌な気持ち」「悲しい気持ち」など、自分の気持ちを言葉で表す練習をしてみましょう。「今、どんな気持ち?」と聞いてみるのもいいですね。気持ちを言語化する習慣をつけることで、怒る前に自分の感情を整理できるようになります。

怒る前にどうすればいいか考える

「イライラしてきたら、どうすればいい?」と、子供と一緒に考えてみましょう。「10数えてみる」「深呼吸する」「一人になる」など、自分なりの怒りの対処法を見つけておくことが大切です。大人でも実施している人が多いアンガーマネジメントの方法ですね。そうすることで、怒りの感情に流されるのではなく、自分でコントロールできるようになっていきます。

親子のコミュニケーションを大切にする

すぐ怒る子供への対処として何より大切なのは、日頃の親子のコミュニケーションです。怒るという行動は、実は子供からの重要なサインです。たとえば、最近自分自身が子供に対してきつく当たっていないか?、「もう◯歳だから」と子供を大人扱いしすぎていないかなど、コミュニケーションの取り方を振り返ってみましょう。子供とじっくり向き合い、信頼関係を築いていくことが何より重要なのです。

子供の話にしっかり耳を傾けて共感する

子供の話に耳を傾け、共感の言葉をかけてあげることを心がけましょう。親に思いを受け止めてもらえる経験が増えることで、怒らずに気持ちを伝えようとするようになります。たとえつまらない話に思えても、まずは「そうなんだ」「それで、どうなったの?」と相槌を打つことが大切です。

よいところをたくさん褒めて認める

怒ったときだけでなく、頑張ったことや良いところをみつけて、具体的に褒めてあげましょう。「よく我慢したね」「落ち着いて話せたね」と、小さな成功体験を認めてあげることが、子供の自信につながります。褒められる経験を重ねることで、怒らなくても親に認めてもらえると感じられるようになるのです。

1日プラス10分だけでも!一緒に過ごす時間をちょっと増やしてみる

怒る子供に必要なのは、実は親と穏やかに過ごせる時間です。一緒に遊んだり、おしゃべりしたり、スキンシップを取り合ったり。子供が心からリラックスできる時間を作ってあげましょう。親を独占できる幸せな時間があることで、ストレスの緩和に繋がります。

親自身がイライラしないための方法を見つけるのも大切

怒る子供に振り回されて、親もイライラしてしまうことはよくあります。でも、イライラした親の態度は、子供には伝わってしまうもの。親自身がリラックスしたり、瞬間的な怒りを抑える方法を見つけることが大切です。子育て以外にもストレスを溜め込まずに息抜きできるようにしたいですね。

年齢別!子供がすぐ怒る時の気持ちと対応のコツ

子供がすぐ怒るのは、年齢によってもその裏の気持ちは異なります。ここでは、年齢ごとの怒りっぽさの特徴と、対応のポイントを見ていきましょう。

3歳児がすぐ怒るのはこんな理由!対応のポイントは?

3歳児は、自我が芽生え始める時期。「自分でしたい」という気持ちが強くなる一方で、思いどおりにいかないとかんしゃくを起こしてしまうことも。この時期は、子供の気持ちを受け止めつつ、怒りの感情をコントロールする力をゆっくり身につけさせていくことが大切。具体的には、怒っている子供に寄り添いながら、怒る以外の表現方法を一緒に探っていきましょう。

4歳児がすぐ怒るのはこんな理由!対応のポイントは?

4歳児は、言葉の発達が進み、自分の気持ちを言葉で表せるようになってきます。でも、まだ感情のコントロールは苦手。特に疲れているときや空腹時など、何かがうまくいっていないと本人が感じている時は怒りっぽくなることも。
イライラしているサインを見逃さずに、休息を取り入れたり、遊びやおやつでリフレッシュするのもいいかもしれませんね。また、怒ったときの気持ちを言葉にする練習を、普段から一緒にしておくとよいでしょう。

5・6歳児がすぐ怒るのはこんな理由!対応のポイントは?

5・6歳児は、社会性が発達し、ルールを理解し始める時期。保育園や幼稚園で年長になったり、小学生になったりと徐々に「お兄ちゃんお姉ちゃん」になっていきますが、心はまだまだ子供。思い通りにいかないと怒ってしまうことも。
頑張っているところを認め、共感しながら、社会のルールを伝えていくことが大切です。また、怒ったときには、気持ちを言葉で表現できるよう促してみてください。「〇〇が嫌だったんだね。どうしたらよかったか一緒に考えてみようか」など、解決策を導き出せるようサポートしましょう。

発達障害の疑いがある場合は?

子供がすぐ怒るのは、発達障害が関係している可能性もあります。特に、注意欠陥・多動性障害(ADHD)や自閉症スペクトラム障害(ASD)の子供は、感情のコントロールが苦手なことがあります。

ADHDの子供は、衝動性が高く、思ったことをすぐに行動に移してしまうことがあります。怒りの感情も、突発的に爆発してしまうことがよくあるのです。また、注意力が散漫で、人の話を最後まで聞けないことも。自分の思いが伝わらないもどかしさから、怒ってしまうこともあります。

一方、ASDの子供は、コミュニケーションが苦手で、相手の気持ちを読み取ることが難しいことがあります。暗黙のルールが理解できなかったり、予定が変更になったりすると、強い不安やストレスを感じます。そのような場面で、パニックになって怒りを爆発させてしまうことがあるのです。

もちろん、発達障害だからといって、必ずしも怒りっぽいわけではありません。しかし、年齢不相応な激しい怒りが続いたり、独特のこだわりによって怒りが引き起こされたりするようであれば、発達障害の可能性も視野に入れてみることが大切です。

子供のすぐ怒る行動が気になるときは専門家に相談する

以上のように、子供がすぐ怒るのは、成長の過程でよく見られることです。しかし、あまりにも激しい怒りが続いたり、怒りのコントロールが全くできなかったりする場合は、発達障害の可能性も視野に専門家に相談するのも一つの手です。

発達障害かも?と思ったときは?

子供がすぐ怒るのは、発達障害が関係している可能性もあります。特に、注意欠陥・多動性障害(ADHD)や自閉症スペクトラム障害(ASD)の子供は、感情のコントロールが苦手な場合も多いです。

ADHDの子どもの特性

一般的に、ADHDの子供は、衝動性が高く、思ったことをすぐに行動に移してしまうことがあります。怒りの感情も、突発的に爆発してしまうことがよくあるのです。また、注意力が散漫で、人の話を最後まで聞けないことも。自分の思いが伝わらないもどかしさから、怒ってしまうこともあります。

自閉症スペクトラム障害(ASD)の子どもの特徴

一方、ASDの子供は、コミュニケーションが苦手で、相手の気持ちを読み取ることが難しいことがあります。暗黙のルールが理解できなかったり、予定が変更になったりすると、強い不安やストレスを感じます。そのような場面で、パニックになって怒りを爆発させてしまうことがあるのです。

もちろん、発達障害だからといって、必ずしも怒りっぽいわけではありません。また、挙げたようなADHDや自閉症児の特性も決して一律ではなく、それぞれの個性があることには注意が必要です。
ただ、年齢不相応な激しい怒りが続いたり、独特のこだわりによって怒りが引き起こされたりするようであれば、発達障害の可能性も視野に入れて支援を検討してみましょう。

対応に困ったら一人で抱え込まずに

子育ては、誰もが悩むもの。すぐ怒る子供への対応に行き詰まったら、一人で抱え込まずに周囲の力を借りましょう。配偶者や祖父母、友人など、身近な人に相談するだけでも、気持ちが楽になるはず。専門的なアドバイスが欲しければ、自治体の子育て支援センターなどに相談してみるのも一手です。

まとめ:子供がすぐ怒るのは成長過程!一緒に乗り越える

子供がすぐ怒るのは、実はとても自然なこと。怒りは、誰もが持っている大切な感情の一つなのです。ただ、その感情をコントロールする力は、年齢とともにゆっくりと身についていくもの。今は、怒りっぽい子供に振り回されて大変かもしれませんが、いつかは自分の感情と向き合える大人に成長するのだと信じて、温かく見守ってあげたいですね。

一人の人格として尊重し、寄り添う

怒る子供を目の前にして、つい頭ごなしに叱ってしまいそうになることもあるかもしれません。でも、子供には子供なりの理由があるはず。一人の人格として尊重し、その気持ちに寄り添うことが何より大切。怒りの裏にある本当のメッセージを受け取る努力を忘れずにいたいものです。

怒る行動も成長に必要な過程だと受け止める

怒るということは、自分の感情に正直になっているということ。自分の気持ちを素直に表現できるのは、とても大切な力です。今は行き過ぎた怒り方だとしても、それを上手にコントロールする方法を学ぶ過程なのだと考えられると、前向きに子供と向き合えるはず。怒る行動も、立派な成長の一歩だと信じて、応援してあげましょう。

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