2025.02.18
  • 子育てコラム

療育が必要ないと言われたらどうする?その後の選択肢と親ができること

子どもの発達について専門家に相談したものの「療育は必要ない」と言われてしまった場合、なんだか複雑な気持ちになりますよね。特に、日常生活で気になることがあったり、保育園などから発達の遅れを指摘されている場合は、専門家の判断に不安が残るかもしれません。

今回は、「療育が必要ない」と判断された後の選択肢や、セカンドオピニオンの活用方法、自費療育、家庭でできるサポートなどについてお伝えします。

子どもの発達について最初の相談先

子どもの発達について不安を感じるきっかけは人それぞれです。保育園の先生から「集団活動の中でお友だちと上手く関われないことが多くて…」と言われたり、家庭で過ごす中で「同年代の子と様子が違うかも」と気づいたり、祖父母から「言葉の発達が遅いのでは」と言われたり様々。
発達が気になり始めたとき、誰かに相談したくなるのは自然なことですが、誰に相談すればいいの?どこに行けばいいの?と戸惑う方も多いでしょう。そこで、発達に関する相談窓口とその特徴について詳しくご紹介します。

子どもの発達に関する主な相談先とその特徴

市区町村の子育て支援課・発達支援センター

まず最初におすすめなのが、市区町村の子育て支援課や発達支援センターです。保健師や心理士など、発達支援の専門家が相談に応じています。「お子さんの日常生活の様子を教えていただけますか」「保育園ではどんな場面が気になりますか」「ご家庭で特に困っていることはありますか」など、丁寧に話を聞いてくれます。 相談は無料で受けられ、必要に応じて医療機関や専門的な支援機関も紹介してもらえます。発達支援に関する様々な情報を得られる大切な窓口です。

かかりつけ医への相談

普段から子どもの様子をよく知っているかかりつけ医に相談するのも一つの方法です。「これまでの発達のペースから考えたら、大きな心配は必要ないと思います」「この年齢ならできなくても心配いりません」など、医学的な視点からのアドバイスをもらえます。 気になる点があれば、発達に詳しい専門医や医療機関を紹介してもらえるのも心強いポイントです。子どもの発達歴や健康状態を踏まえた上での判断が得られるので、より多角的な視点からのアドバイスを受けることができます。

専門家から「療育は必要ない」「しばらく様子見」と言われるケース

発達の相談をした結果、「現時点では療育は必要ありません」「しばらく様子見」と言われることは意外と多く見られます。「お子さんの発達は、個人差の範囲内だと考えられます」「今は自然な成長を見守る時期かもしれませんね」「少し苦手なところはありますが、それを補う素晴らしい能力もたくさんお持ちです」といった説明を受けることがあります。 この判断は、子どもの年齢や発達の状況、日常生活での様子など、様々な要素を総合的に見て決められます。でも、この判断をどう受け止めて、これからどうしていけばいいのか、迷う方も多いかもしれません。

療育が必要ないと判断される一般的な理由

発達の個人差の範囲内とされる場合

子どもの発達には個人差があって、同じ年齢でも発達のペースは一人ひとり違います。「言葉の発達は少しゆっくりめですが、非言語でのコミュニケーション能力はとても高いですね」「運動面は苦手かもしれませんが、知的な理解力はとても素晴らしいです」といった説明を受けることがあります。 特に3歳未満の場合は、発達のペースに大きな個人差があるのが一般的です。様子を見ながら必要に応じて再評価を行うという方針がとられることもあります。

年齢的に経過観察、いわゆる「様子見」と言われる場合

特に幼児期前半では、発達の遅れが一時的なものなのか、継続的な支援が必要なものなのか、専門家であっても判断が難しいことがあります。「今のお子さんの様子だと、もう少し成長を見守る時期かもしれませんね」「この年齢では個人差が大きいので、半年後くらいに再度様子を見せていただけますか」「就学までの期間で、自然と追いついてくることも多いですよ」といった説明を受けることがあります。 このような場合、いきなり療育を開始するのではなく、一定期間の様子を見ながら発達の推移を確認していく方針がとられます。これは慎重な判断を行うためのものです。

受給者証が発行されないケース

発達の遅れの程度による判断

療育を受けるために必要な受給者証は、発達の遅れや生活上の困難さが一定の基準を満たす場合に発行されます。「検査の結果からは、受給者証の基準には該当しない可能性が高いですね」「生活面での困りが基準に満たない状況です」「現時点では日常生活への影響が軽度と判断されます」といった説明を受けることがあります。 これは、決して保護者の心配を否定するものではありません。行政サービスを利用するための基準に基づいた判断として捉えることが大切です。

自費での療育を選択する場合

公費での療育が利用できない場合でも、自費療育という選択肢があります。自費療育は施設によって内容や費用が大きく異なりますが、その分一人一人に合ったオーダーメイドの療育ができることも多く、利用を選択肢に入れてもいいかもしれませんね。

自費療育の特徴

療育に通うと、専門家との定期的な関わりを通じて、お子さんの発達の状況を客観的に見守ることができるようになります。また、家庭での関わり方のアドバイスも得られるため、日々の子育ての中でどのような点に気をつければよいのか、具体的なヒントを得ることもできます。療育はお子さん自身の発達支援の場としてだけではなく、保護者が子育ての方向性を考える上での重要なヒントを得る場所にもなります。

施設選びのポイント

・スタッフの専門性(資格の種類、経験年数など)
・プログラムの内容と特徴 ・保護者へのサポート体制(相談機会、助言の頻度など)
・利用のしやすさ(場所、時間帯、予約方法など)
・費用(入会金、セッション料、その他諸費用)
・体験や見学の可否

費用について

費用は施設によって大きく異なりますが、一般的に以下のような費用が必要となることが多いようです。

・初回評価費用
・入会金(必要な場合)
・セッション料(個別/グループ)
・教材費

料金体系は施設により様々で、回数制や月額制など異なる場合があります。当然ですが公費で大半が負担される公的サービスの療育と比べれば、大きな費用がかかります。利用日数にもよりますが一般的な習い事よりも月にかかる費用が大きくなることもあるため、事前に調べておきましょう。

見学や体験できる事業所も多いため、まずは、プログラムの内容とあわせて費用についても詳しく確認することをお勧めします。複数の施設を体験するのも良いでしょう

自費療育は、受給者証がなくても利用できる支援の選択肢の一つです。専門家の定期的なサポートを受けながら、お子さんの成長に合わせた関わり方を学んでいけることが大きな魅力といえるでしょう。まずは見学や体験を通して、ご家族に合った支援の形を探してみてはいかがでしょうか。

参考リンク:LITALICOジュニアパーソナルコース

別の専門家の意見(セカンドオピニオン)を聞くことについて

「療育は必要ありません」と言われても、まだ不安が残る…。そんなとき、別の専門家に相談することをためらう方も多いのではないでしょうか。「一度判断されたことを、もう一度相談するのは失礼なのでは?」「何度相談しても同じ結果かもしれない」といった心配もあるかもしれません。

しかし、子どもの発達は一人ひとり異なり、その評価には専門家それぞれの視点や経験が関係します。そのため、発達の分野では、別の専門家に意見を求めること(セカンドオピニオン)は、選択肢に入れても良いでしょう。

セカンドオピニオンが有効な場合

以下のような場合、セカンドオピニオンを検討してみる価値があります。

・説明を受けても、まだ納得できない点が残っている
・保育園や幼稚園からの気づきと、専門家の判断に違いを感じる
・家庭での困りごとが続いている
・発達の様子が変化してきた
・別の専門分野(言語面、運動面など)からの評価も受けてみたい

お子さんのことを一番よく知っているのは、毎日一緒に過ごす保護者の方です。直感的な不安や違和感を大切にし、必要であれば別の専門家に相談してみることは、より良い支援を見つけるための自然な選択肢の一つといえます。

どの専門家に相談するか

最初の相談先とは異なる専門分野の方に相談することで、新たな視点が得られる可能性があります。例えば:

・小児科医に相談した後 → 発達専門医や心理士への相談
・発達支援センターの相談後 → 医療機関での相談
・言語面の相談後 → 運動発達の専門家への相談

相談先の選び方に迷った場合は、市区町村の子育て支援課や保健センターに相談してみるのもよいでしょう。
大切なのは、セカンドオピニオンは決して贅沢なことではなく、より良い支援を見つけるための当たり前の選択肢だということです。「もしかしたら」という思いがある場合は、遠慮せずに検討してみてください。それが、お子さんにとってより良い支援につながる可能性もあります。

まとめ:療育が必要ないと言われたあとより良い支援を見つけるために

発達に関する判断は、決して一回の相談で完全に確定するものではありません。専門家からは「今は大丈夫そうですが、気になることがあればいつでも相談してください」「定期的に様子を見ていきましょう」「発達は変化していくものなので、必要に応じて再評価することもできます」といった言葉がかけられることがあります。 特に重要なのは、「現時点では療育の必要性は低いと考えられます」という判断も、その時点での評価であり、子どもの成長に応じて変化する可能性があるということです。「様子を見ましょう」と言われても不安が残る場合は、セカンドオピニオンを検討することも一つの選択肢といえます。また、自費療育を使いながら専門家と繋がるという方法もあります。

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