- 子育てコラム
療育で支援できる運動面の困りって?子どもの特性に合わせた遊び方

発達障害やグレーゾーンで運動面の支援が必要なお子さんが多くいます。適切な運動は感覚の発達を促し、社会性を育むとともに、自己肯定感の向上にもつながると考えられています。お子さんのペースに合わせて運動の楽しさを知ってもらいたいですね。
この記事では、お子さんの特性に合わせた運動の選び方から、具体的な実践方法、家庭での取り入れ方まで、実践的な内容を詳しく解説します。
療育で運動を始めるときに知っておきたいこと
どんなところで運動の支援を受けられるの?
多様な支援の選択肢
運動を取り入れた支援は、様々な療育の場で提供されています。児童発達支援や放課後等デイサービスでは、日常的なプログラムの中に運動を組み込んでいます。中でも運動療育と呼ばれる、運動に特化したタイプの療育もあります。また、医療機関での理学療法や作業療法など、お子さんの状況に応じて選べる場所がたくさんあります。
それぞれの施設で特徴的な支援が行われており、例えば医療機関では専門的な評価に基づいた運動プログラムが、児童発達支援では遊びの要素を多く取り入れた活動が提供されています。
支援の形も多様です。お子さん一人ひとりのペースに合わせた個別療育から、小集団での集団療育など、目的に応じて選ぶことができます。これらを組み合わせることで、より効果的な支援が期待できます。例えば、初めは個別での支援から始めて、お子さんの様子を見ながら徐々にグループ活動に移行していくなど、その子の特性に合わせた支援をすることも可能です。
療育で運動の支援を受ける時期や頻度
一般的に療育の開始時期は早い方がよいとされています。早期から支援を始めることで、より自然な形で運動習慣を身につけられる場合もありますが、お子さん本人の気持ちや、医師の見解など総合的に考えて判断したいところです。
専門家と連携した運動支援

理学療法士(PT)が支援する運動発達
理学療法士は、お子さんの体の動きや発達状況を専門的な視点で評価し、適切な運動プログラムを提案します。基本的な歩行や姿勢の改善はもちろん、年齢や発達に応じた遊びの要素を取り入れた運動を提案してくれます。例えば、バランスボールを使った体幹トレーニングでは、ただボールに座るだけでなく、好きなキャラクターの絵を見ながら姿勢を保つなど、楽しみながら効果を得られる工夫がされています。
特に、つまずきやすい動作については、細かく段階を分けてスモールステップで練習できるよう支援してくれます。例えば、階段の上り下りが苦手な場合、まずは低い段差から始めて、手すりの使い方を練習し、徐々に高さを上げていくといった具合です。
作業療法士(OT)による生活動作の支援
作業療法士は、日常生活の動作をスムーズにするためのサポートを行います。例えば、着替えやお箸の使い方といった生活動作を、遊び感覚で練習できるプログラムを提案してくれます。感覚統合の視点から、お子さんの特性に合わせた運動遊びを工夫してくれるのも特徴です。
例えば、鉛筆の持ち方や文字を書くのが苦手な場合、直接的な練習だけでなく、粘土遊びやビーズ通しなど、楽しみながら手先の巧緻性を高める活動を通じて改善していくなどがあります。また、姿勢保持が難しい場合は、椅子の高さや机との距離を調整したり、クッションを使用したりと、環境面での工夫も提案してくれます。
支援を受ける際のポイント
専門家に相談する際は、お子さんの現在の発達状況や日常生活での具体的な困りごとを詳しく伝えることが大切です。例えば、「階段で足がもつれやすい」「ボールを投げる時に力加減が難しい」といった具体的な状況を共有することで、より適切な支援プログラムを組み立てることができます。また、お子さんの得意なことや好きな活動についても伝えましょう。好きな遊びの要素を取り入れることで、より楽しみながら運動に取り組むことができます。
運動で広がる!子どもの可能性

感覚を育む運動の力
運動を通じて、様々な感覚が刺激され、発達していきます。例えば、砂場遊びは触覚を育て、ブランコは前庭感覚(バランス感覚)を発達させます。粘土遊びでは力加減を学びながら創造的な活動を楽しむことができ、水遊びでは水圧や温度など、多様な刺激を体験できます。また、大きな公園の遊具では、高さや速さを体感しながら、空間認知能力も育っていきます。
感覚の発達には個人差があり、特に敏感な部分がある場合は、その特性に合わせた工夫が必要です。例えば、触覚に感覚過敏があるお子さんには、まず本人が心地よいと感じる素材から始めて、徐々に異なる触感を試していきます。また、前庭感覚が敏感な場合は、低い位置での揺れ遊びから始めて、少しずつ高さや速さを調整していきます。
体の使い方がうまくなるには
日常生活に必要な動きの基礎となる体の使い方を、遊びを通して学んでいきます。例えば、歩く・走るといった基本的な動きは、まっすぐ歩くことから始めて、少しずつジグザグ歩きや障害物をよけて歩くなど、段階的に難しい動きへと発展させていきます。この際、よくある課題として「つま先歩きになりやすい」「バランスを崩しやすい」といった点がありますが、焦らず基本的な動きを十分に練習することが大切です。
ボール遊びでは、はじめは大きなボールを使って近い距離から始め、徐々に距離を伸ばしていくことで、自然と体の使い方を覚えていきます。特に投げる動作は、腕だけでなく体全体の協調運動が必要なため、最初は難しく感じることもあります。そのような場合は、転がすところから始めて、バウンドさせる、そして投げるという順序で練習していくと効果的です。
お友達と楽しく遊ぶために
集団での運動遊びを通じて、自然とコミュニケーション力が育まれていきます。はじめは大人と1対1の活動から始めて、徐々に少人数での活動、そしてグループでの活動へと発展させていきます。この過程で注意したいのは、無理に集団活動に参加させることではありません。1対1の関係が十分に築けてから、少しずつ仲間を増やしていくことで、より自然な形で社会性を育むことができます。
集団活動での困りごととして多いのが、「順番が待てない」「ルールの理解が難しい」といった点です。これらの課題に対しては、絵カードなどの視覚的な支援を用意するなどで対応できます。また、お友達の動きを見る機会を設けることで、自然と模倣学習も促されていきます。
年齢や発達段階に応じた運動遊び
幼児期(3〜6歳)では、基本的な運動能力の土台を作ることが重要です。この時期は特に、バランス感覚や協調運動の基礎が育つ大切な時期です。室内では、マットの上でのゴロゴロ遊びや、トンネルくぐり、簡単な手遊びなどがおこなわれます。屋外では、砂場遊びや公園での遊具遊び、簡単なボール遊びなど、全身を使った遊びを取り入れましょう。
おうちでできる運動遊びアイデア
特別な道具がなくても、日常生活の中で効果的な運動を取り入れることができます。例えば、洗濯物を一緒に干す時は手を上げる運動になり、これは肩関節の可動域を広げ、姿勢の改善にもつながります。階段の上り下りは、リズム感とバランスの練習になるだけでなく、左右の足の協調運動も育みます。お風呂でのシャボン玉遊びは、呼吸と口の動きの練習になり、これは発声や食事の際の口の使い方にも良い影響を与えます。
つまずきやすいポイントとその対応
運動を始める際、よく見られる課題とその対応方法についてお伝えします。まず多いのが「すぐに飽きてしまう」という課題です。これに対しては、お子さんの好きなキャラクターを取り入れたり、短い時間で区切って取り組んだりすることで改善できます。例えば、「○○ごっこ」の形にしたり、音楽を取り入れたりすることで、より長く集中して取り組めるようになります。
また、「失敗を恐れて新しい運動に挑戦したがらない」というケースも多いものです。このような場合は、まず大人が見本を見せたり、一緒に取り組んだりすることで、安心感を持って挑戦できるようになります。
大人でも自分の苦手なことをやらされると嫌になるものです。前向きな気持ちで運動遊びに取り組むためには、できないことを叱るよりもできたことを褒めるという気持ちが大切ですね。成功体験を積み重ねることが重要なので、最初は必ず成功できる簡単な課題から始めることをおすすめします。
継続的な運動面の支援のために
運動を通じた支援は、決して短期間で結果を求めるものではありません。お子さんの成長のペースに合わせて、できることから少しずつ始めていくことが大切です。特に大切なのは、運動が「やらされている」活動ではなく、お子さん自身が「やってみたい」と思える楽しい活動になることです。そのためには、適度な難しさと、達成感を味わえる工夫が必要です。運動を通じた支援が、お子さんの可能性を広げる素晴らしい機会になればいいですね!