2024.06.18
  • 子育てコラム

発達障害の子供の独り言が多い時に考えたいこと

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発達障害やグレーゾーンの子供たちを育てていて、独り言の多さが気になることってありませんか?
家で一人で何かをつぶやいている姿を見て「邪魔するのもかわいそうかな」と思いながら、通学・通園先や公共の場で浮いてしまっても心配だし…と心配になるのが親心ですよね。

本記事では、発達障害児の独り言の特徴や理由、周囲が取るべき対応方法について詳しく解説します。

発達障害児の独り言の特徴

自閉症スペクトラム障害(ASD)児の独り言

自閉症スペクトラム障害(ASD)の子供たちの中には、言葉の発達に遅れがみられることがある一方で、独特の言語感覚を持つ場合があります。その一つが、独り言です。

こだわりや常同行動としての独り言

自閉症児の中には、特定の言葉やフレーズに強いこだわりを示す子がいます。お気に入りのセリフを繰り返したり、耳障りのよい言葉を連呼したりするのは、常同行動(周囲からは意図がわかりにくいくり返しの行動)の一種と考えられます。これは、言葉の響きや口調によって感覚的な心地よさを得ていることが多く、ストレス解消や気持ちの切り替えに役立っているのです。

不安やストレス対処としての独り言

また、自閉症児は環境の変化や見通しの立たない状況に強い不安を覚えることがあります。そのような場面で、独り言を言うことで自己を落ち着かせようとしているのかもしれません。独り言の内容が状況と無関係だったり、同じフレーズの繰り返しだったりするのは、安心できる言葉を自分に語りかけることでストレスに対処しているためだと考えられます。

注意欠如・多動性障害(ADHD)児の独り言

注意欠如・多動性障害(ADHD)のある子供たちの中には、衝動性が強く、多弁になりやすい特徴を持ち場合が少なくありません。そのため、周囲の反応を考えずに思ったことを口に出してしまい、独り言が多くなる傾向にあります。

衝動性や多弁さからくる独り言

ADHDの子供は、頭に浮かんだことをすぐに言葉にしてしまいがちです。会話の最中でも関係のない話題を突然持ち出したり、相手の発言に割り込んだりすることがあります。これは、衝動性のコントロールが難しいためで、独り言もその表れの一つといえるでしょう。

自己コントロールの難しさと独り言

ADHD児は、自分の行動や発言をコントロールすることが苦手な場合が多いです。つい大きな声で独り言を言ってしまったり、話し始めたら止まらなくなったりすることがあります。これは、自己抑制機能の未熟さが影響しているのです。

発達障害児が独り言を言う理由

発達障害のある子供たちが独り言を多く言う背景には、様々な理由が考えられます。ここでは、代表的な3つの理由を解説します。

自己刺激や自己安心のため

発達障害児の中には、感覚刺激に敏感な子がいます。聴覚、視覚、触覚など、特定の刺激に過剰に反応したり、逆に鈍感だったりすることがあるのです。独り言を言うことで、自分に心地よい聴覚刺激を与えている可能性があります。また、独り言を言うことで自分の存在を確認し、安心感を得ているケースもあるでしょう。

思考の整理や言語化のため

発達障害児は、自分の考えを整理することが苦手な場合があります。頭の中でまとまらない思考を、言葉にすることで整理しようとしている可能性があります。つまり、独り言は思考の言語化を助けているとも言えます。自分の考えを言葉で表現する練習にもなり、言語発達を促す効果も期待できます。

周囲の刺激に反応して

発達障害児は、周囲の刺激に敏感に反応することがあります。テレビやラジオの音、他者の会話、街中の看板など、様々な情報が飛び込んできます。その中で気になった言葉や音を、無意識のうちに口にしてしまうことがあるのです。周囲の刺激に反応した結果、独り言が生まれているといえます。

発達障害児の独り言が与える影響

発達障害児の独り言は、本人だけでなく周囲にも影響を与えることがあります。対人関係や学習面での困難につながる可能性があるため、適切な対応が求められます。

対人関係への影響

もともと子供は独り言をしゃべりがちではありますが、あまりに多いと周囲の子供たちからも少し浮いてしまうことも。また、例えば、静かにするべき場面で独り言を言ってしまうと、本人に悪気はなくても周囲から注意されてしまうことも。状況に合わない行動をとることで誤解を招き、結果的に本人の自己肯定感を下げてしまうことにつながりかねません。

学習面への影響

独り言が多い子供は、自分の思考に没頭しがちです。そのため、授業中に先生の説明を聞き逃したり、課題に集中できなかったりすることがあります。学習内容が頭に入りにくくなってしまいます。もし、集中さえすれば学習内容を理解できる学力があったとしても、独り言が多いことでその力を発揮しきれなくなっているとすれば、親としては「せっかく力はあるのにもったいないな」と思ってしまいますよね。

発達障害児の独り言への対応方法

独り言を無理に止めさせない

独り言は、本人にとってストレス解消や思考の整理など、役に立っていることも多くあります。そのため、むやみに独り言を止めさせようとすると、かえって子供のストレスを高めてしまったり、思考の整理が追いつかなくなってしまう恐れがあります。まずは、独り言を言う子供の気持ちを受け止め、温かく見守ることが大切です。

声の大きさのコントロールを教える

声のボリュームを視覚化して練習

発達障害児は、自分の声の大きさを適切にコントロールすることが苦手な場合があります。そこで、声の大きさを視覚的に表現し、イメージしやすくすることが有効です。例えば、声のボリュームを数字で表したり、○△□などの記号を用いたりする方法があります。10段階で声の大きさを表現し、「みんなでお歌を歌うときは10」「家にいるときは8まで」「電車の中では4」など。実際に声を出してボリュームを確認しながら、適切な大きさを一緒に練習するとよいでしょう。

具体的で明確な指示の出し方

発達障害児に対しては、具体的で明確な指示を出すことが大切です。「ちょっと静かにしよう」などの抽象的な表現では、子供はどの程度声を抑えればよいのかわからなくなってしまいます。「今は○○の声の大きさで話そう」など、具体的な基準を示すことが求められます。状況に応じて、適切なボリュームを指定できるようにしましょう。

独り言を言ってもよい場所と時間を決める

独り言を完全に抑えることは難しいため、言ってもよい場所と時間を決めておくのも一つの方法です。例えば、「自分の部屋では自由に独り言を言ってよい」「授業中は抑えるようにする」など、ルールを明確にしておくのです。子供が混乱しないよう、視覚的なサポートを用意するのも効果的です。場所や時間を絵カードで示したり、時計を用いたりするなど、工夫してみてください。

独り言に代わる手段と

内言化の練習

独り言を言わずに済むよう、内言(心の中で喋る)の練習を促すことも大切です。皆さんもご自身の子供時代のことを思い浮かべればイメージがつくかもしれませんが、一般的には年齢が上がるにつれ、自然と身についていくスキルです。ただ、子供によって得意不得意があるため、一緒に心の中で喋る練習をして意識的に子供に経験を積ませていくことが大切です。

感情表現の方法を教える

独り言の中には、自分の感情を表現しているものもあります。怒りや不安、喜びなど、様々な感情が言葉になって表れているのです。子供が適切に感情表現できるよう、言葉だけでなく表情やしぐさ、絵カードの使用など、多様な方法を教えることが大切です。気持ちを言語化する練習を重ねることで、独り言に頼らずとも自分の感情を伝えられるようになっていくでしょう。

保護者ができる支援と配慮

発達障害児の保護者は、子供の独り言にどのように向き合えばよいのでしょうか。ここでは、保護者ができる支援と配慮について解説します。

周囲を気にせず独り言を言える環境を作ってあげる

子供が独り言を言いやすい環境を整えておいてあげることが大切です。何もかもを禁止するのではなく、例えば「おうちの自分の家なら気を使わなくてもいい」「近所の広い公園なら気にしなくていい」など、安心できる場所があることで、ストレスを抱え込まずに発散できるようになるかもしれませんね。

適切な行動への褒め方のコツ

子供が独り言を我慢したり、適切な声量で話したりできた時は、しっかりと褒めることが大切です。「静かにできてえらいね」「かっこいいじゃん」など褒めるのは、行動を止めた直後ではなく、静かにし続けている最中の方がよいでしょう。黙っているという行動を継続できていることを褒めてあげるとことで、もっと続けようという気持ちになってもらえるかもしれませんね。また、「今日はバスの中でずっと静かにできたね」など、具体的にどの行動を褒めているのかを伝えることも大切です。

専門家との連携の重要性

独り言への対応に悩んだら、一人で抱え込まずに専門家に相談することが大切です。言語聴覚士や作業療法士、臨床心理士など、発達障害に詳しい専門家に意見を求めましょう。子供の特性に合わせた対応方法を提案してもらえるはずです。また、保育園や幼稚園、学校との連携も重要です。先生と情報を共有し、一貫した対応ができるよう協力体制を整えていきましょう。

まとめ:発達障害児の独り言への理解と支援

独り言の背景にある特性の理解

発達障害児の独り言は、単なるクセや癖ではありません。自閉症スペクトラム障害(ASD)や注意欠如・多動性障害(ADHD)といった発達障害の特性と深く関わっています。こだわりや常同行動、感覚の過敏さ、衝動性など、様々な要因が複雑に絡み合っているのです。子供の行動の背景にある特性を理解することが、適切な支援につながります。

発達障害児の独り言は、一見すると理解しがたい行動かもしれません。しかし、その背景には子供なりの理由があります。本人の特性を理解し、適切な対応方法を模索していくことが何より大切です。保護者や周囲の大人が力を合わせ、子供の成長を支えていきましょう。

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