- 子育てコラム
発達障害の子供の独特な言葉遣いって?代表的な特徴と親の向き合い方
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発達障害のある子供の中には、言葉の使い方に特徴がある子がいます。子供の言葉遣いに違和感を覚えた場合に知っておきたい子供の言語発達の話や、親の向き合い方について考えてみます。
発達障害児に見られる特徴的な言葉遣いの例って?
大人びた言葉遣い
発達障害児、特に自閉傾向のある子供の中に多い特徴として、年齢に不相応な大人びた言葉を使う場合があります。テレビや動画から得た情報をそのまま真似しているためと考えられます。大人が使うような言葉を覚えようとする姿は、言葉への興味の表れでもあります。
棒読みのような言葉遣い
抑揚がなくセリフを棒読みしているような喋り方をする、という特徴が見られる場合もあります。言葉の抑揚で感情を表現することが難しいため、とも考えられるかもしれません。
「自閉症児は方言を話さない」という研究も
2017年に『自閉症は津軽弁を話さない』(松本敏治/福村出版・角川ソフィア文庫)という本が出版され話題になりました。自閉症の人は方言を話さない(地方で育っていても標準語を好んで使う)という俗説を実際に研究した著者の研究結果がカジュアルにまとめられた書籍です。確かに思い当たる親御さんもいらっしゃるかもしれませんね。
キャラクターのような過剰な抑揚
アニメやドラマの中のキャラクターが言いそうなセリフを、そのまま大袈裟な抑揚をつけて話すこともあります。お気に入りのセリフを使いたいという気持ちが出ているのでしょうね。
同じ言葉の繰り返し
お気に入りのセリフを繰り返し言う場合もあります。これは、常同行動の一種で、言葉に限らず、同じ行動を繰り返すのも発達障害の特徴です。例えば、アニメのセリフを何度も口にしたり、「〜だよね」と何度も確認したりすることがあります。言葉の繰り返しは、安心感を得るための行動と考えられています。
乱暴な言い回しをしてしまう場合も…
その場に合わせた言葉遣いが苦手な場合に、本人に悪気がなくても周囲からは乱暴な言い回しだと感じさせてしまう場合もあります。例えば先生や友達のお母さんに対して命令口調になってしまったり、お笑い芸人がテレビで話した言葉をそのまま話すなどです。
発達障害やグレーゾーンの子供が抱えるコミュニケーションの難しさを知ろう
言葉の意味の理解が難しい
自閉症の子供達の中には、言葉の字面通りの意味の理解ができても、その言葉が使われる状況や文脈を理解することが難しい、という特徴を持つ場合があります。
例えば、友達が「このおもちゃ私のだから」と言ったら、おもちゃの所有者が誰なのかは理解できても、友達が自分が今使いたいと思っているという気持ちを汲み取れない。といった感じです。
言葉のニュアンスが掴めない
言外の意味やニュアンスを読み取ることが苦手な発達障害児もいます。皮肉や冗談が通じなかったり、相手の表情から感情を読み取れなかったりすることがあります。例えば、学校の先生から「お家まではまっすぐ帰ってね」と言われたら、「曲がり角があるのでまっすぐは帰れません」と答えてしまったりします。ただの笑い話で済む場合も多くありますが、重大な勘違いをしてしまう場合も。
特徴的な言葉遣いの背景にある発達障害の特性って?
言語発達の遅れ
発達障害児の中には、言語発達が遅れる子がいます。発語が遅かったり、語彙が少なかったりすることがあります。これは、脳の情報処理の特性が関係していると考えられています。言語発達の遅れは、言葉遣いの特徴にも影響を与えます。個々の発達段階に合わせた言語指導が必要です。
コミュニケーションの困難さ
発達障害を持つ子供の代表的な苦手の一つに、コミュニケーションの困難さ・不器用さがあります。言葉を使ったコミュニケーションが苦手だったり、非言語コミュニケーションが読み取れなかったりすることがあります。例えば、自分の思いを言葉で伝えることが難しかったり、相手の表情から感情を読み取れなかったりします。これは、言葉遣いの特徴にも表れます。
親はどんな対応をすればいい?
焦って言葉遣いを無理に直さない
子供のペースを尊重する
発達障害児の言葉遣いは、成長に合わせて少しずつ変化していきます。無理に言葉遣いを直そうとするのではなく、子供のペースに合わせることが大切です。言葉の発達には個人差があることを理解し、焦らずに見守る姿勢も大切です。他者に迷惑をかけたりトラブルになるような言い回しでなければ、子供なりの表現を認め、個性として受け止めてあげてもいいかもいれませんね。
自己肯定感を下げるような言い方には注意
気になる言葉遣いを指摘する際は、子供の自尊心を傷つけないよう注意しましょう。「そんな言葉遣いはダメ」と言うのではなく、「こういう言い方もあるんだよ」と優しく提案するようにします。子供の個性を受け入れ、肯定的に接することが大切です。「上手に言えたね」と言葉の成長を認めることで、子供は言葉に自信を持つようになります。子供の良いところに目を向け、褒めることを忘れないようにしましょう。
言葉の意味を丁寧に教える
具体的な例を挙げて説明する
言葉の意味を教える際は、具体的な例を挙げると分かりやすいでしょう。例えば、「気をつけて」と言う時は、「車に気をつけて」「段差に気をつけて」など、具体的な場面を想定して説明します。抽象的な表現は理解が難しいことがあります。「優しい」という言葉も、「困っている人を助ける」「怪我をした友達を心配する」など、具体的な行動と結びつけて説明すると理解しやすくなります。
絵カードなどの視覚的な支援ツールを活用する
言葉だけでは理解が難しい場合は、視覚的な支援ツールを活用するのも有効です。絵カードや写真、図解などを用いて、言葉の意味を視覚的に示すことができます。例えば、「嬉しい」という言葉と一緒に、笑顔の絵を見せることで、言葉と感情の結びつきを理解しやすくなります。言葉と視覚情報を結びつけることで、理解が深まります。視覚的な支援ツールを使って、言葉の意味を繰り返し伝えることが大切です。
コミュニケーションスキルを育てる
ソーシャルスキルトレーニング
コミュニケーションスキルを育てるために、ソーシャルスキルトレーニング(SST)が有効です。SSTでは、言葉遣いだけでなく、表情やジェスチャーなどの非言語コミュニケーションも学びます。ロールプレイを通して、実際の場面での言葉の使い方を練習することができます。例えば、「ありがとう」と言う場面では、笑顔で相手の目を見て言うことを練習します。SSTを通して、コミュニケーションの基本的なルールを身につけることができます。
言葉遣いのルールを身につける
言葉遣いのルールを視覚的に示すことで、子供が理解しやすくなります。「人の名前を呼ぶ時は『さん』をつける」「『ありがとう』と言う時は笑顔で」など、具体的なルールを絵や写真で示すことができます。ルールを身につけることで、適切な言葉遣いができるようになります。ルールは、子供の発達段階に合わせて少しずつ増やしていくことが大切です。子供が自然とルールを身につけられるよう、日常生活の中で繰り返し伝えていきましょう。
心配なときは専門家の支援も視野に
言語聴覚士による言語療法
言葉の発達に遅れがある場合は、言語聴覚士に相談するという手段も考えられます。言語聴覚士さんは、子供の言語発達を評価し、個別の療育プログラムを作成します。遊びを通して言葉の獲得を促したり、発音の練習をしたりします。例えば、絵カードを使ったなぞなぞ遊びを通して、語彙を増やしたり、言葉の理解を深めたりします。言語聴覚士との定期的な療育により、言葉の力を伸ばすことができます。
児発・放デイなどの療育
児童発達支援や放課後等デイサービスなど、いわゆる療育機関では、言語療法だけでなく、感覚統合療法や運動療法など、様々なアプローチを組み合わせた療育を行います。言葉遣いの特徴は、発達障害の特性と関連していることが多いため、包括的な療育を受けることも大切です。
例えば、感覚統合療法では、言葉と感覚の結びつきを強化するための活動を行います。運動療法では、身体を動かすことで、言葉の理解を深めることができます。多角的なアプローチにより、言葉の力を伸ばすことができます。
家庭でできる言語発達支援
読み聞かせの重要性
読み聞かせは、言語発達を促す上で重要な活動です。絵本を通して、言葉の意味や使い方を自然と学ぶことができます。例えば、みんなが大好きな「ぐりとぐら」の絵本では、「おいしい」「あまい」「つめたい」など、感覚を表す言葉が繰り返し出てきます。絵本の中の言葉を、実際の感覚と結びつけて理解することができます。また、絵本の中の登場人物の会話を通して、言葉のやり取りのルールを学ぶこともできます。毎日の読み聞かせが、言葉の力を育てる土台となります。
日常会話を通した言葉の学び
日常の会話の中で、言葉の意味や使い方を伝えることができます。子供が乱暴に聞こえるような言葉を悪意なく使った時には、そのまま受け止めつつ、適切な言葉に置き換えてみせることも大切です。例えば、「あっちいって」と言われたら、「離れてほしいんだね」と言葉に表すことで、気持ちと言葉の結びつきを伝えることができます。日常の何気ない会話が、言葉の学びの機会となります。
言葉遊びやゲームの活用
言葉遊びやゲームは、言葉の力を楽しみながら伸ばすことができます。例えば、「しりとり」や「なぞなぞ」など、言葉を使ったゲームを通して、語彙を増やしたり、言葉の意味を考えたりすることができます。また、役割を演じるごっこ遊びでは、場面に合った言葉遣いを覚えることもできます。言葉遊びやゲームは、子供が自発的に言葉を使うきっかけとなります。親子で一緒に遊ぶ中で、言葉の力を伸ばしていきましょう。
まとめ:子供の個性を尊重しながら、サポートしていこう
発達障害児の言葉遣いには特徴がありますが、それは子供なりのコミュニケーション方法です。子供の個性を尊重しながら、適切な方法で言葉の意味を教えていくことが大切です。言葉遣いを無理に直すのではなく、子供のペースに合わせて、コミュニケーションスキルを育てていきましょう。